おもち

ノマドランドのおもちのレビュー・感想・評価

ノマドランド(2020年製作の映画)
3.6
 車上生活を追った物語。フランシス・マクドーマンド主演。
 金融危機や夫の死を受け家を失った高齢の主人公が選んだのは、季節労働や日雇いを求め愛車と共にノマド生活を送るというものだった。そんな旅を通して同じく高齢ノマドの民と触れ合い支え合う姿を描く。
 現代アメリカの厳しい一面が描かれたこの作品、哀愁漂いながらもたくましく生きるマクドーマンドの演技が光る。ノマド生活をする人それぞれが様々な事情を持ちながらその生活を送っていて、Amazonなんかで一緒の仕事をしたり、キャンプファイアを囲みながら語り合ったり、サバイバルの講習を受けたり。結構地盤がしっかりしてるんだなと思う一方、それだけこの生活を余儀なくされてる人が多のかと思うと切ない。アラスカへ旅をしたあと安楽死をするんだという末期がんのおばあさんが良かった。
 「この生き方が好きなのは、最後の”さよなら”がないんだ」という言葉が印象的。複雑だけど、もう会えなくても「またどこかで会える」という希望を持ちながら生きる数少ない手段なのかもしれない。
 壮大な荒野を走る車に合わせてしっとりしたピアノのBGMが流れるゆっくりしたテンポ、起伏も小さく淡々と進んでいくドキュメンタリー性の強い作品だった。不安定な生活の中に一種の安定を見出そうとする独特な一品、オススメッ!
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