「人生における終活は放浪…それもひとつの答えなのか」
「ノマドランド」鑑賞。
ネバダ州の企業城下町（こんな言い方するんだね…大きな企業に支えられた片田舎…ここじゃアマゾンの物流センターがそれ）で暮らす60代のファーンは、リーマンショックの影響で住み慣れた家を失ってしまう。
キャンピングカーに生活の全てを詰め込んで、現代のノマド（遊牧民）として季節労働の現場を渡り歩く車上生活をおくることに。
行く先々で出合うノマド達との交流をの中で、誇りをもって自由に生きる旅は続いていく。
ファーン演じるフランシス・マクドーマンズと彼女に思いを寄せるデイブを演じるデビッド・ストラザーン…この2人を除いて他のキャストは全て本物のノマド…つまり演技の素人だということで話題になっているらしい。
先にそれを知ってからの鑑賞だったが、それでも驚きを禁じ得ない。
自然で深みのあるやり取りを役者じゃない素人達が見せてくれる…そう、これは演技という範囲じゃないのかもしれない。
ロードムービーという括りも微妙に違和感を感じてしまう。現代アメリカの負の部分を切り取ったドキュメンタリー要素もありつつ、晩年を迎えたノマド達の心の繋がりにスポットをあてている。
ネバダ州、アリゾナ州辺りの自然の映像がとても印象的で美しい。
監督は中国出身の女性クロエ・ジャオ、多様性と一言で言うべきじゃないかもしれないが、以前にアメリカ・インディアンの若者をテーマにした作品を撮ったらしい。マイノリティ・スピリットをビシビシ感じる監督さんだな。
