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ノマドランドのせのネタバレレビュー・内容・結末

ノマドランド(2020年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

ディズニー+に加入した時から見るぞ見るぞォと思っていた一作。
何故かエターナルズを先に見た関係で始まり方、撮影時間帯、淡々としている感じなど既視感バリバリな不思議な感覚。

全編通して、デメリットを受け入れた上でノマドとして生きたかった人達と、その選択肢に追い込まれてしまったっぽい主人公の対比が辛かった。
割れてしまった遺品のお皿を必死に接着剤でくっ付けている姿、家族写真を見つめる眼差し、バンを手放すか?という時に発した「これが家なの」という言葉。
思い返してみれば、初めのうち地元でばかり仕事を探していたのも、そもそも普段仕事ばかりしているのも、他のノマド達が仕事の配分を減らし旅先や旅そのものをエンジョイしている様子とはあまりに違った。
そんな彼女の生き方は夫の死に殉じているようで、家族や愛というものも最早呪いのように感じられ、見ていて生き方や死に方を考えさせられた。

アカデミー賞でも評価された点である実際にノマドとして生活している人々の演技と、クロエ・ジャオ監督特有のあまりにも綺麗に撮られた風景も効果的で、ただでさえ切ないストーリーに更に「世界はこんなに美しいのに」という辛さが加わって、常に画面から不思議で魅力的な絶望感が漂っているように感じられた。

最後の最後、故郷を訪れ倉庫に預けていた持ち物を自ら手放したあの時、ようやく主人公はノマドという生き方を受け入れられたのだろうか。
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