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ノマドランドのclementineのレビュー・感想・評価

ノマドランド(2020年製作の映画)
3.8
ワゴンで暮らす人々は、皆それぞれ、魂の救済や、想い出に留まるために旅を続けている。
しかし、そもそも旅に出ざるを得なかった状況があり、それは主に現在の資本主義によってもたらされたものである。
屋根の下に暮らすか、星空の下に暮らすか。尊厳に正直に生きるのか、無理にでも尊厳らしきものにすがらないと保てないのか。

どこまで個人の内情に踏み込んでいいのか躊躇される現代。
オバマケアといった皆保険を導入しようとするだけで、社会主義のようだと批判されるアメリカ。
個人という単位では、ある程度だれもが善意に基づいた行動をしているのに、互いに踏み込めないんだから、そりゃ分断が広がるよな、というのが一番の感想でした。
この後、トランプの時代がやってきます。

映像がとても綺麗で、映画館で観れば格別だったろうなと思う。
反面、音楽はどうだったんだろうと思った。
挿入されるピアノ曲はセンチメンタルなものが多かったが、ドキュメント調の淡々とした作風と合わなかったんじゃないかなと思った。
もし、感情をある方向へ導きたかったのなら、ちょっと遠慮してほしいと思ったし、静かな映画なので、例えば車のエンジン音など、効果音だけで良かったんじゃないかなという場面もあった。
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