ちむ

ノマドランドのちむのレビュー・感想・評価

ノマドランド(2020年製作の映画)
3.4
幸せってなんでしょうね。ノマドの人たちの生き方は強烈に惹かれるけれど大変そうだとも思うし私はなかなかできない。けどものすごく、本当にものすごく豊かに見えた。宝物のアンティークのお皿を割られた時に、接着剤でそのお皿を治す様子とかはものすごく心に響くものがあったし、洗濯機を回す間にジグゾーパズルを嗜む様子も、こんな豊かな時間の作り方あるのか、、私は携帯をいじってばっかだな、と思いながら見てた。
私は政治のことはよくわかんないけど、この資本主義で消費社会の世の中で消え去りかけてる大切な物がぼんやりと見えてきた。そんな宝物みたいな時間と裏腹に、大変そうな肉体労働のシーンもはたもや生きるためには必ずお金はつきものという資本主義社会から結局は逃れられないんだろうなぁとしみじみくるシーンだった。

みんな色んなものを背負ってるんだな。くるりの琥珀色の街って曲の、「ただがたいの良さには騙されるんじゃない。お前と一緒で皆弱ってる。その理由は人それぞれ、耐え抜くためには仰け反れ。この街はとうに終わりが見えるけど俺は君の味方だ」って歌詞をなんとなく思い出した。
あとはもう今後はimaのflyの曲を聞くたびにこのノマランドの映画を思い出す気がする。

映像もすごかったな。私の好きなイラストレーターのkokooma さんを思い出した。

「カヤックを漕いで美しいものをたくさん見た
アイダホの川でヘラジカの家族に会ったり大きな真っ白いペリカンが目の前に舞い降りたり
カーブを曲がると崖一面にツバメの巣があって無数のツバメが舞ってたり、それが水面に映って、私もツバメと一緒に飛んでる気がした。ヒナが孵化して小さな白い殻が川に落ちて流れていく。あまりに美しくてもう十分って感じ。この瞬間に死ねたら幸せって。」
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