ゆう

ノマドランドのゆうのレビュー・感想・評価

ノマドランド(2020年製作の映画)
4.0
ハウスは失っても、ホームは失わない。

自給自足の孤独な暮らし、危険と隣り合わせな日常、
ノマドワーカーなんてヌルい言葉が昔流行っていたけど、実際のノマドな暮らしは、ともすれば死と隣り合わせの過酷なものであろう。

主人公は、定住するきっかけが何度訪れても、ノマドを続ける。まるで他の選択肢がないかのようだ。雄大な自然と一体化するような彼女の姿には、悟りにも通じる圧倒的な強さを感じる。

本作は社会問題を提起するにとどまらない。どんな環境でも、心の軸をもちつづけることの重要さを、美しい映像とともにフランシス・マクドーマンドの名演が、説得力を持って伝える。

果たして、私には見せかけのハウスではなく、帰るべきホームがあると言えるか、自問せずにはいられない。

各賞を総なめしたのも納得の良作であった
ゆう

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