みちろう

ノマドランドのみちろうのレビュー・感想・評価

ノマドランド(2020年製作の映画)
4.5
家を持たず車で生活をするノマドと呼ばれる人たちをドキュメンタリーぽく描く

実力社会で簡単にクビを切られたり格差がすごくホームレスも多いっていう日本より全然厳しい世界なイメージのアメリカ。この映画はそんなアメリカの負の一面をテーマにリーマンショックの影響など様々な要因で失業者となってしまった人たちが日雇いの仕事で食い繋ぎ車上生活を強いられるっていう暗い現実を見せていくのかと思ってた。それも間違ってないけど実際観てみると自由なノマドライフを思い切り明るく楽しんで過ごす人たちの様子があって想像した内容と全然違った。
なんなら経済的な理由で仕方なく…ってだけじゃなく同僚の死をきっかけに人生を見つめ直して旅に出たりここに行き着くまで様々な動機があるのも面白い。失業者がどうこうよりも人生をどう生きるかっていうことに対して強く考えさせられる。

ノマドの日常を見せるのに本作のドキュメンタリー風スタイルはすごく効果的だと思った。bgmや演出は控えめ、ごく自然な仕草や会話をする登場人物、そんでもはやノマドになってるフランシスマクドーマンド。余計なものを省いたスタイルは嘘くささがなくてありのまま。加えて見た感じ予算も抑えてて上手く作られた映画だなって感心。

自由を謳歌できるノマドライフにも自由を選び普通を捨てた代償が降りかかる。ファーンは時に社会のレールから外れてるという偏見や認識に苛まれ、ずっと一緒にいると思っていた仲間もやがて去っていきふと1人になった時に孤独感が強まり将来が不安になり自分も家族と住むべきか悩む。

何をするにも完璧な選択なんてないっていう現実もこの映画ではしっかり描かれてる。だからこそモチベーションをもらえる明るい映画も良いけど、こんな風にリアルな側面も見せる映画もまたしっかりと考えさせられる。

人生の生き方の選択を迫られて悩んでいる人には響くはず…!
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