こう言う社会的な側面を切り取って、よくもまあ、これほど美しく、面白く見せられるもんだ。
世界の中心の国は、映画芸術においては、見事なる先進国、それを実証してみせた。
ジョン・マクティアナンのデビュー作は『ノーマッズ“nomads”』(85)。あの怪しい人々は、ホームレスではなくハウスレスの人たちだったのか?
ノマドの生き方はまるで昔の開拓者、アメリカの伝統を背負っていると姉は言ったが、放浪、全てを放り投げたと皆は言う。
でも、ヒロインのこの生き方も“perfect days”なのだろうか?
自分を曲げられないし、コントロールできない、人間とは厄介だ。
ラストは勿論、前に進んでいると信じたい。しかし、“ホーム”と頑なに信じていた“empire”を完全に捨てると言う事は、ホームレスになったとも受け取れた。
なので、あのラストカットは、これが現実だ、と言っているのではないか?