RAMPO

恐怖ノ黒電波のRAMPOのレビュー・感想・評価

恐怖ノ黒電波(2019年製作の映画)
2.5
基本、主にホラーに分類される作品を好んで観ます。

本作も一応、ホラーに位置付けられていたので手に取ったってところで、本作に限らず(驚けるところは素直に驚きたいので)特に何を描いてるのか事前に確認はしません。

あと、映画というものにメッセージ性や特定の主張というのも(作り手がいる以上、当然にあるのでしょうが)積極的には求めません。従って芸術的だとか文学性が高いとか、世の評価が高くても自分として純粋に娯楽性を感じない、面白いと思えなければ評価は下がります。

事後情報によると本作は、独裁政権下にあるトルコの抑圧された住民生活を背景としたディストピアが描かれているようです。
老朽化した灰色のマンションの管理人である主人公とそこに住む住民たちの日常が黒い粘性のある液体に徐々に蝕まれていく様が描かれますが、それがあまり起伏なく、不条理で脈略なく淡々としていて、まるで本当に誰かの見ている悪夢を見させられてる気分になります。

物語の舞台としてのディストピア感は素晴らしいのですが、そこで描かれる内容は余りに断片的で、主人公やその周辺人物も感情の起伏に乏しく、キーワードであろう公共放送の内容もまた観ている観客にはあまり意味のある内容とは感じられず、前述のような背景を知らないまま観ても、不気味さこそ感じても恐怖感には繋がりません。

結論として。
本作は一般的な娯楽を求める(それ故に事前情報を極力避ける)私のような者には、ちょっと理解の難しい作品でした。
昔からディストピア系作品は「1984」はじめ結構好きな系統なんですけどね。もう少し直線的な恐怖感は欲しかったなと。
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