いずみたつや

ユダ&ブラック・メシア 裏切りの代償のいずみたつやのレビュー・感想・評価

4.0
シャカ・キング監督で「ユダ&メシア」ってとても厳かな雰囲気が漂っていますが、描かれるのは釈迦でもキリストでもなく、黒人青年フレッド・ハンプトン。

ブラックパンサー党といえば過激で暴力的な側面がフィーチャーされがちですが、この映画は彼らの知的で野心的な姿を描いて見せたところに新鮮さを感じます。

フレッド・ハンプトンが持ち前の大胆さと演説テクニックでバラバラの勢力をひとまとめにしていく過程はとてもエキサイティングで、大義のために人種を超えて彼らが手を結ぶ光景は感動的でした。

タイトルの通り”ユダ”となる男の視点から描くバレるバレないのサスペンスと、対象者との交流による心の変化のドラマは潜入モノの王道でとても入り込みやすかった。

実話となると登場人物の関係が複雑になり過ぎてしまいがちですが、主要キャラを絞っており演出も手堅く親切なので、ブラックパンサーに詳しくない人でも楽しめる作りだと思います。