ゆりか

ユダ&ブラック・メシア 裏切りの代償のゆりかのレビュー・感想・評価

4.3
FBIのスパイとしてブラックパンサー党に潜入するも、指導者として頭角を現す青年に惹かれていき、葛藤する…っていうのを描くのかと思ったらそんなに単純明快な話ではなかった。
調べたら、当時主人公は19歳、暗殺されたフレッドは21歳。よくわからない流され方をする主人公にも合点がいった。自分も同じ立場だったら闘う自信は無いけど…
スパイ映画としてのエンタメ、60年代への郷愁、黒人が白人に一泡吹かせる、的な観客へのサービスを一切排除した潔さ。無駄な煽りも過度な盛り上げもない、澄んでいるからこそ辛い。逃げ場がない

演説を聴いて、心から指導者の誕生を期待している自分に少し恐怖を覚えた。権力と闘うことがこんなにも辛くむごいことだとこの2時間で目の当たりにしたのに、その場の空気が震え、全員を奮い立たせるスピーチをする指導者がいたら…と夢見てしまった。変な新興宗教に引っかからないようにだけ気をつける。
ゆりか

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