アキラナウェイ

ユダ&ブラック・メシア 裏切りの代償のアキラナウェイのレビュー・感想・評価

3.3
第93回アカデミー賞にて、助演男優賞と歌曲賞を受賞。アカデミー受賞作は極力観ておきたいタチなので鑑賞。

FBIのスパイとしてブラックパンサー党に潜入した1人の黒人男性を描いた、実話を基にした伝記作品。

黒人の裏切り者=ユダ、
そしてブラックパンサー党を率いる"黒い救世主"=ブラック・メシア。

1968年のシカゴ。17歳のウィリアム・オニール(ラキース・スタンフィールド)は、FBIのロイ・ミッチェル特別捜査官(ジェシー・プレモンス)から、ブラックパンサー党に潜入し、FBIの捜査に協力するよう持ち掛けられる。自らの犯罪を無かった事にするという取引に応じ、オニールは党に潜入。

そこで彼が出会ったのは、ブラックパンサー党イリノイ州支部長、フレッド・ハンプトン(ダニエル・カルーヤ)。入党したオニールは徐々にハンプトンの信頼を勝ち取り、遂には彼の警護を命じられるまでになるが—— 。

MCUの「ブラックパンサー」(ややこし)、「ゲット・アウト」「NOPE/ノープ」と話題作への出演が絶えないダニエル・カルーヤ。カリスマ性に満ちたリーダー、ハンプトンを堂々たる演技で魅せる。

そして、FBIの内通者としての存在意義に疑問を抱きながら、悩み、葛藤する表情の演技が印象的なラキース・スタンフィールド。

マット・デイモンとジミーちゃんを足して2で割ったジェシー・プレモンス。なんだかんだで最近は好き。

これはもはや戦争。

銃撃戦、爆破、襲撃、暗殺。

当時、急速に支持を拡大していたブラックパンサー党をFBIが如何に恐れていたのかがわかる。

要所要所で一触即発の緊張感に痺れながらも、実話モノとして些か間延びしてしまった感が強い。いかんせん日出ずる島国の単一民族である我々に、白人と黒人による、差別し、差別される感情を理解するのは難しい。

劇中、ウィリアム・オニール本人のインタビュー映像が挿入されているが、自責の念に因るものか、オニールはこの後自ら命を絶っており、聖書でキリストを裏切った後のユダの行動とも重なる。