“スレブレニツァの虐殺”をめぐる気骨の再現映画。
セルビア勢力の強圧を前に国連軍司令は無能化、退避市民が続々と殺されゆく。
公私の狭間で究極の選択を為す通訳女性の瞳を通し、ボスニア紛争のリアルへ迫る監督ヤスミラ・ジュバニッチ(『サラエボの花』他)の気魄に脱帽。
『アイダよ、何処へ?』の原題“Quo vadis, Aida?”は、ヨハネ書“Quo vadis, Domine?”(主よ、どこへ?)由来。敢えて死地へと向かうイエスへの問いが、主人公アイダの選択に重ねられる。
アイダの決断は『由宇子の天秤』を想起させ、両作に通底する問題提起の鋭さに唸らされる。
『由宇子の天秤』 https://twitter.com/pherim/status/1433268353943048193