あさのひかり

アイダよ、何処へ?のあさのひかりのレビュー・感想・評価

アイダよ、何処へ?(2020年製作の映画)
4.1
映画観る前からある程度の覚悟はしてたけど、やっぱり目を背けそうになるし、心もえぐられた。

ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争で実際に起こったジェノサイドを、国連の通訳として働く現地の女性アイダを中心に描く。そんな立場の彼女は働き手としても、被害を受ける現地民としても当事者。

アイダのしてることは国連の働く人としてはだめかもしれないけど、愛する家族を守りたい、という当たり前のことすら出来ないなかで、彼女にとっては取りうるベストな行動だった訳で。私自身、アイダの願いが叶うことを祈るような気持ちでこの作品を観ていたし。

国連から派遣された部隊も現地の人達を守ろうと必死に働いているけれど、必要な支援も本来指揮を行うべき上層部のフォローもなく、彼らだってギリギリの中で自分の任務以上の働きをして、重要な決断を迫られていて、本来責任を取るべき人が責任を負っていない状況だってある。

アイダがかつて住んでいた部屋の住人に放った言葉が重かった。彼女はどんな思いで、最後子ども達の姿を見つめていたのだろう。

映画が終わって、アイダの息子達の年齢を考えたら、自分とほぼ同年代、ってことに改めて驚いた。このような出来事があったことを知っておかなければならないし、忘れてはいけないと思う。
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