AKANE

アイダよ、何処へ?のAKANEのレビュー・感想・評価

アイダよ、何処へ?(2020年製作の映画)
5.0
知名度が低すぎる名作であると同時に、国連という存在に死ぬほど嫌悪感を抱くことになる本作は1995年イスラム教徒が大虐殺された事件「スレブレニツァ・ジェノサイド」を題材にした社会派ドラマ。監督は実際に10代のときにボスニア紛争を生き抜き、その経験を作品という形にして訴え続けている女性監督ヤスミラ・ジュバニッチ。国連で通訳の仕事をする主人公アイダは自国が敵国に攻め込まれるなか家族や同胞を危険から守ろうと言葉通り奔走する。この手の作品としては短めな101分だけど緊張感がずっと続くのでみ終わったあとは180分くらいの大ボリューム作品をみたような疲労感に包まれました。同じ民族間とは思えない蛮行、紛争や暴力の前でのルールと国連の無力さ、他人の命より自分の命が大事になったときの現実そのものの姿がこの作品では描かれています。ラストシーンの希望に隠された絶望感ぜひ感じ取ってください…
AKANE

AKANE