いずぼぺ

アイダよ、何処へ?のいずぼぺのレビュー・感想・評価

アイダよ、何処へ?(2020年製作の映画)
3.9
ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争のなかでおきたスレブレニツァの虐殺。
二次大戦後最悪の戦争犯罪とされている。
人間とはなんと愚かな生き物だろうか。

作中、説明パートに当たる部分はとても少ない。主人公アイダが通訳として知り得た情報しかない。鑑賞前後に監督のインタビューやボスニア・ヘルツェゴビナ紛争について少し知識を入れておくとアイダの緊迫感が理解しやすいかも。アイダは家族を守るために奔走する。賛否両論あるだろうが、私も同じことをするだろう。
本作は1995年7月におきた大虐殺も描かれているが、血や暴力がほとんど画面にないのにも関わらず絶望的なことが起きたことが静寂で伝えられる。よく考えられた表現だ。
その残虐性すらも血や暴力以外でかたられている。IDの剥奪したうえでの集団埋葬など民族浄化を試みた痕跡。
安全地帯を守るはずだった国連オランダ軍の不甲斐なさ。やりきれない。
引き渡しちゃうって他に出来ることなかったのか?

戦後、スレブレニツァには紛争で追われた人々も帰ってきたようだ。
アイダの学校にもかつての敵の子や追われた側の子もいる。「一緒に暮らす」はスレブレニツァで迫害を受け生き残った女性たちが
決めたようだ。「憎しみを忘れ次の世代のために一緒に暮らすべきだ」と。
こんな言葉、どん底にいた人しか言えないよ。すごい。

私達は憎しみを忘れ、愚かさを省み、語り、学び続けてばならない。
ああ、まとまらない。
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