KnightsofOdessa

国境の夜想曲のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

国境の夜想曲(2020年製作の映画)
2.0
[あまりにも綺麗な"夜"] 40点

イラク、シリア、クルディスタン、レバノンなどの国境で暮らす人々を3年間撮影を続けた末に生まれた作品。兵士たちが暗闇の中で家宅捜索する風景など、生の現実では撮れないようなキマりすぎたショットが数多く含まれているので、ドキュメンタリーというよりドキュドラマと呼ぶほうが良いかもしれない。刑務所跡地で息子の死を嘆く母親、ISISの忌まわしい記憶を吐き出す子供たち、劇中劇として欧米に蹂躙された歴史を憎々しげに語る老人たち、真夜中の川に漁に出て赤く燃える地平線を背に黙々と狩りを続ける男など、一般人の記憶に寄り添う合間に、言葉少なに立ち続ける兵士たちの背中も挿入される。こういう映画に対して素直に"美しい…綺麗だ…"と思えるほど清い心の持ち主ではないので、本作品の映画祭に向けて媚びてる感じはあまり好きになれなかった。取り敢えず一枚の画に命賭けてる感じ、とてもヴェネツィアっぽいっすね!良いと思います!(投げやり)

それにしても今年のTIFFメックスは社会問題を食い物にした映画祭対策映画が多すぎるな。次の一週間ハンガリー映画見続けるくらいに精神がすり減った。
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