フェミ研ゼミ

私というパズルのフェミ研ゼミのレビュー・感想・評価

私というパズル(2020年製作の映画)
5.0
すごく悲しくなってしまって沢山涙が出た。
何故か分からないけど「もしもの話」もっと沢山これからもしようと思った。
もしも私が死んだらとかじゃなくて、
もしも100日休みがあったら?とか
もしも家にプラネタリウムがあったら?とかそういう「もしも」を沢山話したいと思った。
そしたら辛いことがあった時に大丈夫な気がした。

辛すぎることがあると、本当に何もできない。1秒1秒が本当に長くて。
話したいことは滝のようにあるのに、それを言葉にすることができない。話すべき相手を見定めることも出来ない。
だからいつも沢山の「もしも」をストックしておく必要がある。
「もしも」は恐れを回避するためと、それを乗り越えるために必要なきがした。
「雨の日は会えない、晴れた日は君を思う」を思い出した。


結局出産をしたことがないとこの物語は理解できないんじゃないか。
そんな風に様々な人の感想を読んで胸が苦しくなる。
「つまらない」
「出産シーンがピーク」とかね。
すごく辛いくなる。
なんで?なんでそんなに鈍感でいられるのだろう。と悲しくなる。

出産ってこの映画の冒頭より長いし苦しいのに。その結果が我が子の死なんてただの苦しみしかないのに。

私は割と仲良くしていた職場の女の子が死産を経験した。
割といつもふざけていて、いつも不機嫌な私とも仲良くしてくれた。
赤ちゃんが産まれるのをすごくすごく楽しみにしていたし、私も楽しみにしていた。

やっと連絡をとれるようになった頃、
彼女は立ち直るのに一生かかる。つまりは立ち直れないと言っていた。
一番辛いのはお産だったと。頑張っても結果は我が子の死だったし、やっとお産が終わっても母乳は溢れるし、カラダは我が子を育てようと変化するのにそこには我が子は居ない。
大丈夫と思っても不意に涙が止まらなくなると言っていた。
誰も悪くないし、理由も分からない。ただたまたまそうなってしまっただけ。

この間NHKの番組をたまたま見ていた。象の母親が子ども死を受け入れられず子どもの亡骸から離れようしないシーンだった。ハイエナや鳥たちが仔象に集るが、母親は彼らを威嚇する。ただ側にいるだけ。死を受け入れるまでの2.3日その場を離れなかった。
そのシーンを思い出した。



「りんごの香りがした」
たったそれだけの記憶でも人は救われる。
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