このレビューはネタバレを含みます
題材は面白いが、料理の仕方が余りにも稚拙で、観劇中何度も溜息が出た。
衣装が素晴らしいので、☆を0.5プラス。
主人公の来歴に詳しいわけでは無いが、映画を観るとなるほど、偉大なカール・マルクスの娘として労働問題やフェミニズムといった社会政治運動に取り組んだ活動家、思想家という闘士しての面と、ハチャメチャな父親に苦労した上にダメ男に惚れてしまって疲弊する中産階級の一人の女性という相矛盾し波瀾万丈の人生を・・・約一時間半の映画に全部盛りしたら、焦点のぼやけた中途半端な物語になるのは当たり前。
そこにあの手この手の演出・・・パンクロックを流したり、それに合わせて踊らせてみたり、第四の壁を壊してみたり、当時の米国やパリ・コミューンの写真を差し込んでみたと思ったら、20世紀のデモの写真を潜り込ませてみたり・・・をぶち込んで、映画の流れをズタズタにするのはいかがなものか?
ようやく感情移入して物語に没入し始めたな・・・という頃になると、突如パンクロックが流れてリセットするのは勘弁してくれ・・・。
まだ普通に演出してくれれば、地味だけど、まぁまぁかな・・・ってな作品で終わったのに。
社会運動を主軸に描いたならともかく、父親に死んだ後も苦労させられ、ダメな恋人にもつぶされていったラストで「前へ!」なんてメッセージと共に終わらせちゃダメだろ・・・。
それにしても、こんなにも気合いの抜けた「インターナショナル」は初めて聴いた。最後に流れるやっつけ感も凄くって・・・。
19世紀の社会主義者たちへのネガティヴ・キャンペーンなのか?とすら思ったよ・・・。