羊の群れは丘を登る

親愛なる同志たちへの羊の群れは丘を登るのネタバレレビュー・内容・結末

親愛なる同志たちへ(2020年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

 1960年6月1日から3日にかけて起きた暴動ノボルチェカッスク事件が題材。
 フルシチョフ政権下の経済政策の失敗による、インフレと食糧不足への不満を募らせた民衆が蜂起。この鎮圧に公式には26人。非公式には100人以上が殺された。

 映画でこの事件を知る前は勝手ながら、フルシチョフって「スターリン批判」や「雪解け」の穏健なイメージあった。
 
 この映画では本音と建前、過去から現在に繋がっていることが上手く描かれていると思う。

 ユリアが崇拝する社会主義と暴動に参加して行方不明になった娘スヴェッカを心配で必死に捜す中で揺れ動く気持ち。
 
 暴動の死者を隠蔽するために僻地へ埋めて隠すのも、今のウクライナとの戦争で平気でやっていること。

 この映画がロシアの検閲の中で作られたことにビックリ!

 ラストはユリアとスヴェッカが抱き合って、生きてて良かったと思いながら終わった。
でも、映画では描かれていない、ここから待ち受けている前途多難な状況を思うと切なくなる。