KnightsofOdessa

Sun Children(原題)のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

Sun Children(原題)(2020年製作の映画)
3.0
[脱獄して陽光を見よ] 60点

昨年のヴェネツィア映画祭コンペ選出作品。学校横の墓地地下にある財宝を目当てに無料学校に入学させられる子供たちを描く。主人公のアリを含めた少年グループがタイヤ強盗を行う冒頭は、駐車場からバックヤードを通ってショッピングモールに入るという展開で締めくくられるんだが、表舞台に出てこられない彼らの現実をあまりにも鮮やかに提示していて非常に息苦しかった。少年グループは地元のボスに雇われて無料学校に入る羽目になり、墓地地下まで穴を掘り続けるんだが、屋外の作業の音に合わせて穴の中の木の根を削るなど、本当に『穴』みたいな脱獄映画っぽく撮られている。実際に掘るシーンの緊迫感があまりない(財宝という言葉がふんわりしすぎている)のと、他に語られるテーマが多くて尺が短すぎるのが難点。自分から入っているので脱獄とは違うんだが、"クソみたいな現状から脱する"という意味で"脱獄"は正しい表現にも思えてくる。

本作品は児童労働を強いられる子供たちに捧げられているが、そのテーマの他に地下鉄でスポンジ(?)を売ってる少女との恋愛、アフガニスタン人である彼女とその兄(同じ少年グループ)のイランにおける立場、無料学校の存在と存続、子供たちのっ初めての理解者となる教師などイランについて、子供についての様々なテーマを並べていく。確かにそれぞれの描写は上手いんだが、思いついたネタ全部並べたみたいな窮屈さがある。
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