それは、観る者の神経を逆撫でするような世界…
"地獄へようこそ…"
人生最良の一日となるはずであったその日…
マリアンヌの婚約披露パーティ…豪華な会場となった自宅の一歩外では、貧困層によるデモが暴徒化し歯止めが効かない状態になりつつあった…
マリアンヌの前にかつて使用人として働いていたロランドが現れ、病状の重い妻への援助を求める…マリアンヌはロランドの妻を入院させる為、会場から抜け出しロランドの家に向かう…その頃、パーティ会場には緑色のペンキと共に暴徒達が侵入し、そして…
…これは…凄い作品を観てしまった…
所謂、富裕層の住民であるマリアンヌの婚約披露パーティを華やか且つじっくりと描き、中々話が進まないのですが、ゾンビのようにノロノロと暴徒達が現れた瞬間から容赦の無い殺戮と略奪の展開がノンストップで突き進み、あれよあれよという間に阿鼻叫喚の世界が目の前に広がっていきます。
最終的には軍部の力による統制下に置かれるディストピアなSF的テーマの世界が、抑えた演出ながら容赦の無い暴力描写で描かれ、今の世界が直面する問題を浮き彫りにしているかのようで、フィクションでありながら、フィクションと思わせないリアルさを感じさせます。
徹底的に胸糞…富裕層と貧困層、それぞれが持つ狡猾ないやらしさ、それ以上の軍部のドクサレ具合…マリアンヌの額に書かれた"16"という数字…下手なホラー映画の何億倍も恐ろしい展開なのに、画面に引きずり込まれ、一時も目を離す事が出来ない…鑑賞後、ほぼ無音のエンドロール…強烈な疲労感に襲われる私…でも、すげぇ面白い…怪物級の凄い作品なのに、何で公開している劇場少ないの？
