大道幸之丞

ニューオーダーの大道幸之丞のネタバレレビュー・内容・結末

ニューオーダー(2020年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

メキシコ。裕福な邸宅での結婚パーティー。しかし街では貧富の格差から起こったデモや襲撃が相次いでおり、ついには銃を持った男たちがパーティーにもなだれ込んで政治家である新婦の父親も撃たれてしまう。それを機にパーティーは惨劇となる。

花嫁のマリアンは以前の使用人の家に向い難を逃れたかとおもいきや、武装兵士に捉えられ投獄される。

本作は意図的に情報を制限し何やら暴動から「政変」が起こっている「らしい」程度にしている。実際はデモを鎮圧した軍隊が一部暴走し、勝手な判断で裕福そうな捕虜には身代金を要求するように強要する。マリアンも散々乱暴されながら身代金を要求するビデオを撮影され自宅に送信される。

この経緯で父親が懇意にしている軍人に便宜を図ってもらいマリアンの居場所を突き止める。しかし無事に確保するも何故か事故を装い射殺されてしまう。彼女をかばっていた使用人親子も殺されてしまう。正直何がどうなっているのかさっぱりわからない。

ここで国の体制がどうやら軍事政権にでも変わったような想像をさせる。
——本作は「ある日突然理不尽な政変が起こったら!?」という状況を描きたかったのだと思う。具体的で固有の情報は敢えて観客へは提供されない。

——しかし1923年(大正12年)の関東大震災時には在日朝鮮人が「井戸に毒を投げ込んだらしい」などと意図的なデマが流され、日本国中で在日朝鮮人が虐殺された史実がある。道理などあったものではなく、警察まで惑わされて加担したという最悪の事件だった。

その意味で我々も決して他人事ではないのだと思う。