スコセッシフォールド全開

ニューオーダーのスコセッシフォールド全開のレビュー・感想・評価

ニューオーダー(2020年製作の映画)
4.7
蛇口から緑色のペンキ。窓越しに覗くアイツ。監禁&強姦。最後まで気を許すことなく、後味も悪くて良かった。こういう配慮のない描き方やオチは問題提起性がある。富裕層も救われない無差別無秩序な点が攻撃範囲を広くしていて高ポイント。

偶然の巻き込まれ型ではなく、必然的な巻き込まれ型。デモ隊があのパーティ会場を見つけてしまった、にしなかったのがちゃんと問題と対峙していて素晴らしい。起こるべくして起きたこと。防げたのに防がなかったこと。使用人たちがゲートをくぐって仕事場に向かう境界を引かれている感覚が、経済格差を、自身が下級階層の住人である意識を、暴力による革命の唯一の選択肢感と正当性を高める要素として大きすぎる。

国家が国民を心配するフリをしている。全ての悲惨な出来事が呆気なく片付けられ、全ては特定の人たちの富を目的に仕掛けられた茶番劇だとバレる恐ろしい演出。
「鎮静化…収束…」のラジオと相反する、今も眼の前に暴徒がいる状況。メディアも。
機に乗じて誘拐ビジネスに手を染める。軍部も。
事の発覚を恐れて隠蔽を、粛清をする。政府も。

日本という国が、国内で色々言われているが、国際的な基準でいかに人権意識が高いか、生活水準が高いか、教養が高いか、を改めて感じる。幸せを噛み締めている。