スワヒリ亭こゆう

ニューオーダーのスワヒリ亭こゆうのレビュー・感想・評価

ニューオーダー(2020年製作の映画)
3.4
公開当初に気になっていたんですが上映館と上映回の少なさから映画館で観れなかった作品がAmazonプライム・ビデオに配信されていたので観賞しました。86分という時間の短さで手軽に観れると思って軽はずみに観るのはオススメしないです。結構、衝撃的でした。

どういう話かというとメキシコが舞台で主人公・マリアンという女性の結婚式を自宅で行っている。
自宅での結婚式。多くの来賓者たちが来て使用人の数も多い。誰が観ても裕福な家庭。
そこで行われる結婚式の豪華で多幸感に包まれている雰囲気とは別に結婚式会場の外ではメキシコ市民の中で何かが起きている。
ストーリーが進むにつれて結婚式という幸福の象徴から一気に堕ちていくマリアンとその家族。
容赦ないストーリーに嫌悪感を抱かずにはいられない。ですがどこか他人事にも思えない。
裕福な家庭ではない僕はマリアン側ではないけれど、他人の幸福を堕としてしまう輩にはなりたくないと思いますね。

メキシコ市民の中にクーデターの様な正義が見当たらないのが本作のポイントのひとつだと思います。
メキシコというのは女性は美しく、映画も多才な監督・役者が多い。食べ物も美味しそう。『リメンバー・ミー』の様な【死者の日】の華やかさは憧れます。
ですが『クレイジー・ジャーニー』や映画『ボーダーライン』でも観る事が出来る【カルテル】と呼ばれる組織がいる事でも有名なのがメキシコ。
正に表と裏。メキシコの闇を少しでも知っていると本作のストーリーに緊張感とリアリティを持ち観る事ができます。メキシコのカルテルが何故壊滅されないのか?警察とカルテルが裏では繋がっているからなんです。
本作の軍なのか?暴君なのか?もうよく分からない人がマリアンに悲劇をもたらす。監督としてはメキシコという国に警鐘を鳴らしている。
それ以外の国にも言える事です。
緑のペンキがひとつ本作の特徴で反乱のイメージを緑のペンキにしている。
そのペンキで家や車は勿論、家に飾っている豪華な絵画にペンキを投げるカットがありました。
実際にルーブル美術館でモナリザの絵にペンキをぶつけようとして捕まった活動家がいました。
本作に触発された訳ではないと思いますが、同じ様に考え富の象徴を汚す行動を取っているのは興味深かったです。

平和ボケした日本人に今一度、考えるキッカケになればと思います。