だし巻き

ワールド・トゥ・カム 彼女たちの夜明けのだし巻きのレビュー・感想・評価

5.0
ささやかで心かき乱される。前編ナレーションベースで主人公の一つ一つの言葉が詩のように美しい。ひとつの言葉でさえも聴き逃しがたい。彼女の性格がとても好き。いつもは奥手で確信が持てると大胆に解放されたような気持ちになれる。予告と本編の訳が違くて予告の方の「普段感情を出さない人の方が感情的だ」が彼女の性格の本質をついていてシンプルでかつ鋭く彼女を惑わす。

19世紀の女性たちの問題は書ききれないので置いといて、意識的に2人だけの関係に注目して鑑賞した。起で出会い、承で関係、転で発展、転2で引越し、結で別れ。非常によくある展開だが、独特のフイルムのザラザラ感と日記によって進む時間と季節が物語を昇華。

音楽とセリフが美しい。特にアビゲイルがタリーに宛てた手紙は聞いてるこちらも思わず息が深くなる。

この作品が劇場公開スルーはおかしい。
あの空間でこそ感じられる温度感と自然の音、美しい絵画のような映像を観る機会を失った私の損失は大きい。
だし巻き

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