そうねだいたいね

ワールド・トゥ・カム 彼女たちの夜明けのそうねだいたいねのレビュー・感想・評価

3.5
好きな役者さんが勢揃いだったので鑑賞。面白かった。必要最低限の台詞や芝居で心情を想像させるというより主人公アビゲイルの心情は全てモノローグで話しちゃうので、あくまで物語を観る映画だった。場面が変わる度に、事細かくその日の日付と曜日をテロップとナレーションで出すことによって、どこか日記の回想のようで引き込まれた。自分に対して無理な要求をしたり罵ったりする傲慢な夫に対して不満を持っているというドラマ的に誇張したような分かりやすい設定ではなく、あくまで妻想いな夫ではあるが、非常に口数が少なく、結婚当初も相性が合うのか不安に思っていたようなことを台詞で口にすることで、ただ単に人として合わないということがアビゲイルの結婚生活に悲しみを抱かせているという、とても説得力のある状況が目の前にある中で、支配的な夫に悩むタリーと出会い、恋心を抱くようになるまでの感情の流れがとても丁寧に描かれている印象を持った。ただ、後半遠くに引っ越したタリーに手紙を送ることで夫のフィニーに読まれる可能性があるとはアビゲイルは思わなかったのだろうか。読まれることで、タリーの心情がファニーにバレて関係が更に拗れるかもしれないという相手に対する配慮がなかったのが気になった。多分どこかで離れることを期待していたのかもしれない。だとしたら、今作はアビゲイルのワガママを描いた映画ということにもなるが、それはそれで良いと思う。キューブリックの『バリーリンドン』じゃないけど、今作も時代に合わせて、蝋燭やランタンなどの光のみを照明代わりにして撮影してるのか、一つ一つのカットで光と影のコントラストを用いて深みのある空間や空気感を作り出しているようでとても印象的だった。実際は照明機材使ってるかもしれないし、後で色々調整してはいるとは思うけど。やっぱりケイシー・アフレックは好きな役者さんだ。