力のある作品て、テーマや展開はどうであれ、予告編だけでもやっぱりその力がダダ漏れになってるもんだよね。
この作品もそんなだった。
テーマとなってる女性どうしの同性愛的なものには元々そんなに惹かれはしない。
どちらかと言うと湿っぽく妙にリアルだったりするイメージで苦手な部類。
でもこれはそのあたりの作品群では結構群を抜いて好きかも知れない。
まず画がしっかりしてて、色味は抑えてあるし重みもあるのに凄く綺麗。
画角は割と平面的で、絵画みたいな切り取り方だった。
嫌味も厭らしさもない、品のある画。
音楽も良かった。
自然の音や心境を増幅させるような、しかも結構思い切りのいい音量で、劇伴というに相応しい音だった。
俳優も良くて、主演女優二人のキャスティングも筋を生かすルックスと演技でとても良かった。
モノローグが多いのだけはあまり好きではなかったけれど。
内容としては、夫を持つ身にはなかなか堪えるというか身につまされるというか(笑)
まあ、夫に満足しきってベタ惚れの妻なんてそうそういないでしょうし、不満を持ちながらも刺激を受けずに粛々と暮らしていく方が無難で平穏なんだろうなぁ、というのは想像に難くない。
そしてそうなると飛び出したくなるのも分かる(笑)
ただ、大抵女性監督が女性目線そのままで映画を撮るのってリアル過ぎたりえげつなかったり、ファンタジーも突飛過ぎたりするものだと思ってるけど、この作品は度の過ぎるリアルに走ることもなくファンタジー要素も控えめでしかもポイントも受け取りやすく、ストーリーとしても表現としてもバランスが良いと思う。
総じて一般的には地味ではあると思うので大ヒットするわけもないんだけれど、品と力のある、良作でした。
この監督の次作があればまた観たい。