桃子

拳銃の町の桃子のレビュー・感想・評価

拳銃の町(1944年製作の映画)
3.5
「欲張りウェスタン」

1時間半ほどの、それほど長尺ではない西部劇なのだが、アクション、コメディ、恋愛、陰謀、そしてサスペンスまでぶち込まれていて、見ている方はどうしていいか分からなくなる。なんともサービス精神旺盛な娯楽てんこ盛り作品である。ストーリーも込み入っているので、何がどうなっているのか頭に入らない。この長さにしては登場人物が多すぎるのだ。
おまけに私が大嫌いなタイプのヒステリックでイジワルで偏屈な老婦人と、勝気ではねっ返りの我儘お嬢様が出てくる。主人公のジョン・ウェインが、ラストでこのじゃじゃ馬娘とくっつくのがめちゃくちゃ気に食わなかった。久しぶりにウェイン様の純正西部劇を見たのに、なんだか残念な気持ちになってしまう。
何がいけないんだろう?やはり、詰め込み過ぎがよくないとしか思えない。これだけの要素を入れたいのなら、もっと見ている人にわかりやすい脚本にしないと。だいいち、殺人事件が起きているのに、その被害者はおろか殺人の場面も出てこない。うーん、こういうのをB級西部劇っていうのかな。たしかに、映画解説のページを見ると、ウェインの出演映画ベストテンの中には入っていなかった。
文句を言いまくったけれど、ウェインの頑張りが伝わってきてほだされてしまう。彼の役どころは、保安官でもなくガンファイターでもなく、カウボーイである。牧場に仕事に来てくれと頼まれてやってきた普通の男。そのせいか、身なりも普通だし、スレたところもない。演技がおおざっぱに見えるのは、それがウェインの味なのでノープロブレム。手にしているものを、ぽいっと乱暴に投げ捨てる仕草はどの映画も同じだなあとつくづく思う。あの独特のたたずまいがほんとにかっこいい。これだけで全部許せます(^^) 
桃子

桃子