マチ

いとみちのマチのネタバレレビュー・内容・結末

いとみち(2020年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

設定、舞台からほのぼのしたNHKドラマ的な印象を受ける一方で、照明や構図は実に映画的な作りでカッコいい作品。
暗がりで三味線を弾くいとの顔がテレビドラマのようにはっきりと見えなかったのがよい。内面を観客の想像と音で伝えようとする意志のようなものを感じた。
青いメイド服でりんご畑を進むトラッキングと、あえて固定カメラにした最後の演奏シーンもとても印象的だった。

編集も冴えている。もう少し「残し」があっても良さそうな所でも、それをせずに次々とシーンを進めてしまうスタイルは食感もよくて好感がもてる。

ラストはもう少しカタルシスの得られる結末でもよかったかも。演奏を終えたいとに山頂からの景色とは別のご褒美があってもいいのでは。人とのふれあいを得たそれまでの文脈に合っていないと思うし、これからのいとを案ずるものとしても少しズレた感が否めない。

駒井蓮さんは本当に受賞歴のある演奏者なのかと思ったくらい素晴らしかった。調べたら撮影前の数か月で猛特訓したらしい。
直線的なルックの朴訥な少女が、三味線を弾いた途端、音とともに曲線的な色気を醸し出す。
説得されてしまう見事な楽器演奏の演技だった。
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