りょうた

建築と時間と妹島和世のりょうたのネタバレレビュー・内容・結末

建築と時間と妹島和世(2020年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

評価とは異なり、非常に面白い作品でした。石若駿の音楽が絶えず反復されている。それはこの妹島和世の建築が地下から一階、二階と層になっているように、音楽も作品内である種の層を形作っていく。反復という点で印象的だったのが、妹島が初めて(作品上は)建設現場の下見に訪れた際の超ロングショットで、音声は彼女のピンマイクからの音声から録られている。その視覚と音声の齟齬も非常に心地よかったのだが、そのシーンの最後の、手前の足場から降りる若者が映る超ロングショットで、同じ映像がスローモーションで反復される。そこでさらに面白いことに音声は現実の時間の流れに従った音声(建設会社の方と妹島が配置について語る)が聞こえてくる。その大きくずれていく映像と音声が何とも面白い。見ていて思ったのだ、建築と映画って似ているなこと。どちらも出来たものを見ると、何処かあか抜けた感じがするものの、その制作過程では建設会社が入った肉体労働の上に成り立っている。映画にもそういう労働的側面があるだろう。
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