ちぇりー

ブラック・スネーク・モーンのちぇりーのレビュー・感想・評価

3.0
まず、表紙がよろしくない。
大変よろしくない!!!
脳筋層や陵辱系好きの変態層が集ってそうな、誤解を与えそうな表紙じゃないの。アクションはワンシーンも流れない。本作はブルース、即ちハートのアツい話なのにね。


「熱を払ったように、悪魔も追い払おう!」

セックス依存症の若い女の子に、敬虔なクリスチャンが悪魔祓いという名のセックス依存症祓いを努める構図。まるでエクソシスト/官能verのように見えちゃって滑稽で笑っちゃった(実際お馬鹿映画としてアリかもしれない! 既にpornhubあたりに企画物として転がってるかもだけど)
鎖で繋げるシーンも、まるで羊飼いのよう。
 
救いたい気持ちも、説教臭い部分も含め、良くも悪くも敬虔なクリスチャン特有のウザさに、思わずクリスチャン信者の親を重ねてしまい、苦笑いしつつ鑑賞。
 
…ところで、アメリカは高熱患者を氷水風呂に浸からせるのがセオリーなの???文化の違いに驚く。

 
「皆は天国を気にしすぎだ。雲の上をバイキングレストランと思い、言われた通りにしてれば後で食べ放題と思っている」
 
すごく好きで救われる台詞。
無宗教大国ニッポンには刺さるかは分からないけど、宗教の天国と地獄という概念があるせいで必要以上に罪悪感に苛まれる者もいる。罪は誰でも犯すものであり、世界に悪も存在する。されど善も存在する。自分を赦すことの大事さ。
 
極度の不安症の旦那と、セックス依存症の妻。メンヘラ同士の未来は決して明るくは見えない。「私の小さな光を輝かせよう」と歌った妻。新婚さんの未来に光あれ、と観客はただ2人の門出を見送るしかない。



––––つまりはここだ。ハートだよ。ここからブルースは始まる。ハートだ。

嗚呼、ブルースを聴きたくなる。