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犬部!のぐりのレビュー・感想・評価

犬部!(2021年製作の映画)
3.3
"犬や猫などのペットを大切にしよう"というメッセージは十分に伝わってきた。また、彼らのように、犬や猫の殺処分をゼロにしようと実際に行動に移せる人たちは本当に凄いと思った。しかし、映画としては微妙だった。冷める演出が多く、その分内容も薄っぺらく感じてしまった。おそらく殺処分や保護活動について基本的なことを教えるための作品なんだろうけど、本当に基本的な部分が多いから、自分には新たな学びがあまりなかった。また、自分はペットを大切にするのは当たり前だと思っているから、作品全体のメッセージも正直そこまで響かなかった。初めてペットを飼おうと考えている人や子供たちなんかには良い作品なのかもしれない。

まず、主人公の花井はとにかく頭が悪い。犬や猫の殺処分をゼロにしたいという熱意は凄く伝わってきたけど、何でもかんでも1人でやろうとするのはシンプルにバカ(←あんまりこの言葉は使いたくないけど、劇中で「犬バカ」と呼ばれていたのであえて使わせてもらう)だなと思った。もっとみんなと協力して、殺処分ゼロという目標を共有し広めていくことが重要なのに、思ったより小さな活動で終わってしまった。もちろん、その小さな活動が大事だということはわかる。けど、大学生のときと38歳のときでやってることが全く一緒だったのが残念だった。行政や動物愛護団体と繋がるとか、もっと変化が欲しかった。基本的な部分を描いた作品だから小さな活動(里親探し)だけで十分なのかもしれないけど、わざわざ大学生のときと38歳のときの2つを区別して描いているんだから、獣医師となった38歳のときにもっといろんなアイディアが出てほしかった。

次に、多頭飼育崩壊を描いた部分。多頭飼育崩壊した人の心理として、"寂しさ"があったことにはなるほどそうかと思ったけど、多頭飼育崩壊した久米さんがめちゃくちゃ倫理観バグっててびっくりした。まさかの花井逮捕って。ノリで逮捕するじゃん。花井が逮捕されて「もう花井さんったら犬バカなんだから🎶」とはならんのよ。逮捕されるって人生終わるレベルでヤバいことなのになんでそんな軽いノリで扱えたのか、意味がわりません。流石に極端すぎない?しかもそのあと、久米さんの飼ってる犬たちを避妊手術することになったとき、契約書とかちゃんと書いてなかったよね?全然学ばないじゃん花井…😮‍💨

あと地味に違和感があったこととして、花井が一人暮らしのアパートで多頭飼育をしていたこと。花井の犬に対する愛の強さを表現していたのかもしれないけど、流石にリアリティがない。常に狭いゲージの中に犬たちがいることも、そもそもあの小さなアパートでペットOKなのも、なぜか室内が土足なのも、どれも違和感しかなかった。

もうひとつ違和感があったこととして、2003年から2019年と10年以上も時間が経っていたのに、みんなのビジュアルが大学生のときとほとんど変わっていなかったこと。時の流れが感じられなかった。10年以上時間を経たせたんだから、もう少し老けさせるべきだったと思う。花井が獣医師になったときを描きたかったのなら、別に5年後とかでも十分だったような気もする。

ここまで冷めた部分をひたすら書いてきたけど、冒頭にも書いたように、殺処分や保護活動について"知る"ことができるという点では、本作の価値は大いにあると思う。本作をきっかけに、保護犬や保護猫を飼おうと考える人が増えてくれたら嬉しい。実際私も本作を観て、将来ペットを飼うときは保護団体から貰い受けようという気持ちがより一層深まった。また、ペットを飼うときには覚悟と愛情が必須だと再認識できた。あとこれはあんまり関係ないかもしれないけど、大好きな実家の犬と猫に早く会いたくなった!次の帰省が待ち遠しい。

最後に、本作を観たのは大好きな林遣都の演技を久しぶりに堪能するためだったけど、やっぱり作品が良くないと役者も良く映らないんだなと感じた。ただ、林遣都の"犬よりも犬っぽい笑顔"がとても可愛く映っていたので、まァヨシとしよう🫶🏻

○余談
本作が公開される前、公式が本作のエンドロールで流すためのペットの写真を募集していて、そのキャンペーンに自分も参加して(実家の犬の写真を応募して)いたから、エンドロールでその写真が流れたらオールオッケーにしようと思ってたんですヨ…地味にエンドロール楽しみにしてたんですヨ…

ハイ、残念ながら採用されませんでした。ぴえん🥺
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