みあせぶ

ナショナル・シアター・ライヴ 2020 「シラノ・ド・ベルジュラック」のみあせぶのレビュー・感想・評価

5.0
I want…I want…I want you, Roxane.


現地での上演の様子を見て、「この舞台をどうにかして観れる手段は無いのか…?」と悩む私にNTLは絶好の機会を設けてくれました。ロンドンに行きたい気持ちは山々だけど、こんなご時世なので映画館で録画したものが観れるだけで本当に幸せでした。

演目については全く知識もなくただただ舞台でのマカヴォイの活躍を拝みたくて観に行きました。学生なので2500円でした。こんな安くていいのか?というぐらいの完成度の高さでした。

鼻をコンプレックスに持つシラノと、彼を含んだ三角関係を描いた本作。舞台は17世紀でありながら、服はユニクロに売ってそうなライトジャケット風で現代的だし、付け鼻も一切無し。

そして、驚くべきポイントが序盤か度々流れるボイスパーカッション。伝統ある演目にボイパを取り入れるという斬新な演出。
この演目は差別やルッキズムを描いているので、余計なものを削ぎ落としたシンプルな舞台は時代に関係なくシラノが私たちの身近にいるということを感じさせてくれます。

シラノの鼻をみんながバカにするような内容だと思ってたけど、シラノはみんなが思う以上に自分の鼻を気にしているため、彼こそが本物の外見至上主義者なのだと思う。あまりにも自分を卑下することはよくない。自分が気にしてることでも、他人にとってはそう対して気になることではないのかも。

マカヴォイの演技に魅力されて、ずっと青い瞳に吸い込まれてました。セリフを話す時、常に目が潤んでるのでぜひ注目してください。難しい役どころだと思いますが、ただ好きな人を想い続ける純愛ものでした。

私が反省したいのは、ストーリーを放棄してマカヴォイだけを見つめてしまったことです…🤦‍♀️洗練されたセリフや詩をもっと耳と目(字幕)で味わうべきだったなぁ。時間があればもう1回観に行きたい!!!!
みあせぶ

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