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ワイルド・スピード MEGA MAXのEikeのレビュー・感想・評価

ワイルド・スピード MEGA MAX(2011年製作の映画)
3.6
別に本シリーズのファンではありませんし、全作欠かさずチェックしている訳でもありません。
第一作はありていに言って、ごく普通のアクション映画だった記憶があります。
売り出し中だったヴィン・ディーゼルとポール・ウォーカーの出世作シリーズですが、まさか第10弾まで続くとはね。
オリジナルにあった改造車のストリート・レースのモチーフは残っておりますが、この第5弾では完全に別の次元に突入しております。
本作ではブラジル、リオ・デ・ジャネイロを舞台にこれまでのシリーズに登場したキャラクタ-達が集結、ド派手なアクションを繰り広げております。

その意味では、まぁアメリカ製のアクション大作に他ならない訳で、上映時間が2時間を超えていたり(130分)もします。
ところが、ここが面白いところなのだが、かなり無理のある設定&描写の連続でありながら不思議に大味な印象にはなってはいない。
それどころか、登場人物たちの人間関係やチームワーク、ライバルとなる捜査官たちとの駆け引き等が最近の米国製のこの手のジャンルの作品にしては異例なほどきちんとお膳立てされていて、どんどんと惹きつけられてゆきます。
その結果、リオの街をメチャクチャにしながら疾走するクライマックスのカーチェイスシーンにさしかかる頃にはどっぷりと物語に絡め取られてしまいます。

この成功の大きな要因は敢えてドミニク(V・ディーゼル)とブライアン(P・ウォーカー)だけに焦点を当てた物語にせず、中盤以降は完全に「チーム」の物語にシフトさせた点が大きいと思います。
それこそミッション・インポッシブルばりの作戦行動に出るチームのメンバー間の信頼関係とチームワーク、そして疑似家族を形成してゆく彼らの姿に親近感を覚えずにはいられなくなる。
敵役となるリオを牛耳るボスの存在感は正直いって物足りないのだが、それを補完して余りあるのがドゥウェイン・ジョンソン扮するホッブス捜査官であり、劇中でのドミニクとの肉弾戦は正に重量級。
クライマックスではこの敵対する二人が意外な行動に出て正に「待ってましたっ」と言った爽快感があります。

カーアクションはド派手で物量に頼っておりますが、それ以外の細かな作戦行動の描写、ドミニクとその妹ミーアそしてオコナーを中心とした「ファミリー」の念入りな描写。
こうした意外と細やかな演出はやはりシリーズを立て直した台湾出身のジャスティン・リン監督の手腕と才覚によるものでしょうね。

久々に映画らしい爽快感に満ちたアクション大作。
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