mh

アンノウン・バトル 独ソ・ルジェフ東部戦線のmhのレビュー・感想・評価

5.0
大敗だったためソ連・ロシアが近年まで隠していたWW2東部線戦ルジェフの戦い・火星作戦をモチーフにしたポリティカルアクション。
冒頭の塹壕戦の迫力がエグい。「プライベート・ライアン」みたく誇張気味のリアリティではなく、さりげないのでリアリティが半端ない。サラッと長回ししてたりして、見てるこちらも気が抜けない。
双胴の偵察機(Fw 189)から撒かれたビラで、政治将校がガンバちゃって大変な騒ぎになるというのがほんとに好きなくだりだった。(余談だけど「炎628」に登場する偵察機もFw 189だった)
すごいつまらないことで死にそうになってる緊迫感に、地元ギャングを見抜いた新兵が詰め寄るくだりやら、無能司令官が無能っぷりを見せつけていたりを重ねている多重クライマックスがとにかく素晴らしい。
拾った命をこれから無駄に散らすことになるエンドも決まっている。
大敗はしたけど、ここでがんばったことがスターリングラードの勝利と、モスクワの戦いの勝利も呼び込んだというような流れらしい。
・大敗。
・クソみたいな赤軍将校。
・無駄死にする兵士たち。
これだけのマイナスを乗り越えて、よく映画化してくれたと思う。
個人的に「T-34 レジェンド・オブ・ウォー」とか「ロシアン・スナイパー」みたいなアジアンエンタメタッチの最近のロシア映画は苦手なので構えていたんだけど、その系統ではなく真面目だったソ連映画の正統後継者みたいな映画だった。
B級戦争の中にもこういう傑作が埋もれているたびびっくりするね。
最高の戦争映画でした!
mh

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