ポルりん

最後の10秒のポルりんのレビュー・感想・評価

最後の10秒(2018年製作の映画)
1.3
■ 概要

娘を失った遺族のインタビューから、生前の娘の人生を描くモキュメンタリー映画。

■ あらすじ

『自動車事故にて短い生涯を終えたメアリー。
彼女は、どのような生涯を送っていたのか・・・。
残された遺族や友人の証言により、彼女が如何に人々に愛されていたか・・・。
自動車事故の悲惨さや残された遺族の苦しみを描く。』


■ 感想


Amazonプライムにて鑑賞。

自動車事故にて娘を失った遺族が、生前の娘の人生を振り返ると共に、


遺族「娘に車を買ってあげなければ・・・あの時こうしなければ・・・事故は起きなかったのに・・・。」


などと、後悔の念を話すといった、残された遺族の苦しみや自動車事故の悲惨さが伝わってくる。


私の場合ではあるが、1歳になる息子を病気で失いかけた経験がある。

だから種類は違えど、ある程度このキャラクターに共感できる部分は多い。

実際に病気が発覚した時は、息子を失うかもしれないといった恐怖や将来の絶望なども思ったが、それ以上に、


私「何でもっと早く病院に連れて行かなかったんだろう・・・何で気付いてあげれなかったんだろう・・・。」


といった後悔の念の方が大きかった。

今になって冷静に考えると、ベストな選択をしていたと思うのだが、やはりどうしても自分を責めてしまう。


私でこれなのだから、本作に登場するキャラクターなんて、突然娘を失うのだから、その心中は計り知れないものがあるだろう・・・。

こちらの話も、娘がかなり酷い"ながら運転"をしていたのが原因なので、自分を責める必要はないのだが・・・。


このように本作は非常に陰鬱で重いテーマを扱っていると同時に、キャラクターに共感しやすいことものとなっている。

海外大手映画データベース「IMDb」では、7.8点と決して悪い点数ではない。(むしろ高い)


しかし日本に限り、


・Amazon 1.5点

・Filmarks 2.4点


と軒並み低評価である。


一体どういうことなのだろうか・・・。


演出、シナリオ、音楽、演技、カメラワーク、編集など、特に酷い点は見当たらない。

あえて述べるなら、



・関連性のないカットバック(非同時的カットバック)


最愛の娘を抱きしめるシーンと最愛の娘が亡くなるシーンをカットバックするのは、絶頂と絶望の対比を効果的に使っている。

また、車のおもちゃで弟と遊んでいるシーンと事故のシーンのカットバックも、同様である。


しかし、ドラム式洗濯機の回転とタイヤの回転を何度もカットバックするが、特に関連性や対比もなされていないように思える。

まあ一応、娘が幼少期にドラム式洗濯機の中に隠れていたといった対比にはなるのかもしれないが、だとしたら少々弱いように思う。

どうせだったら、娘が何かしら回転するおもちゃで遊んでいるシーンとタイヤの回転をカットバックした方が、幼少期と現代の対比が上手く作用するように思える。



・事故のシーンを繰り返し見せすぎ


重要なシーンなので何度も見せたいのは理解できる。

だが、余りにもそのシーンを挿入しすぎた為に、逆に事故の悲惨さが薄れてしまっている。

そして、何よりもくどい。




のような2点だろうか・・・。

ただ、これは目に余って酷いという訳ではなく、あくまで私自身が違和感を覚えるだけで、特段気にならない人の方が多いと思う。

ぶっちゃけ話自体はそこまで酷いとは思わない。


ではどうして、ここまで日本で評価が低いのだろうか・・・。


答は明白・・・字幕である。

字幕の翻訳が酷すぎるのだ!!!

話の内容とその場のセリフが全く合っておらず、物語の全容が把握しにくい。


◎ 字幕の例


1) インタビューに答える母の最初の一言


母「それは、誰がどのぐらいの長さを知っている最も明るい日でした。」


[恐らくインタビュアーに、娘が事故を起こした日の朝の情景を説明しているのだと思うが、何を言ってるか意味が分からない。]



2) 親に呼ばれて、娘が親の元に向かう時に放った一言


娘「準備ができてるかどうか、ここに来ます!」


[多分、「今行くよ!」と言いたかったのだろうが、良く分からない。]



3) 娘が車で出掛ける経緯をインタビュアーに語る際のセリフ


母「彼女は数字でバブルしました。その日の合法的な宝くじで・・・彼女は彼女はただでした。」

父「そして、彼女は彼女の電話にいた。」


[宝くじを購入して、幻想を抱いていたってことかな・・・。"自由"を"ただ"って訳すの初めてみた。父は何言ってんのか全く分からない。]



4) 娘とその友達が爪にマニュキュアを塗ってオシャレをするシーンでの会話


友達「注意してください。最後の一つ」

娘「きれいです。」

友達がふざけて娘の爪ではなく手の甲に塗る。

娘「あなたは何をした?」

友達「私は試した!」


[映像を観れば、娘と友達が如何に親しいのか容易に想像出来ようになっているのだが、字幕ではそれが全く表現出来ていない。]



5) 娘と年の離れた弟が鬼ごっこをしているシーンにて、鬼の弟に娘がタッチされた際に娘が放った一言。


娘「タグ(弟)あなたはそれです!!」

[一瞬意味が分からなかったが、恐らく「あなたが逃げる番よ!」って意味だと思う。]



6) 留守番電話のメッセージ


メッセージ「通話。こんにちは。あなたは家族の電話に到達しました。メッセージを残して下さい。」

[何言ってんだ、こいつ・・・。こんな事言われたら、メッセージ残す気なくすわ・・・。]



以上のように、本作の字幕翻訳は、素人の私でも分かるような誤訳珍訳直訳と酷いものになっている。

ぶっちゃけ、中学1年生の方がもっとマシな翻訳をするのではと疑うレベルだ!!


しかも、このクソ翻訳は一部だけを切り取りをしている訳ではない。

劇中の字幕が全て、このような悲惨な有様なのである。


だからキャラクターの真剣さが全く感じられないばかりか、全員が視聴者をバカにしているように感じてしまうので、全くキャラクターに共感出来ないどころか、腹が立ってくる。

それにより、娘の死が非常に軽いものになってしまってしまい、本来持つ物語の悲劇性やテーマ性が全然伝わらないどころか、全く別のものに感じてしまう。


いや、マジでふざけんじゃねーよ!!

どう考えても、英語字幕をグーグル翻訳しただけだろ!!!

舐め腐ってんのか!!!

1000兆歩譲って、アクション映画やホラー映画ならいいけど(よくない)、人の死や残された遺族の苦悩をテーマにした作品では絶対にやっちゃダメだろ!!!

本作の字幕翻訳した人は、「タイタニック」や「ある愛の詩」でもこんなクソ翻訳をするのか!!!

暴動起こるぞ!!!


これだけでも、充分すぎるほど酷いのだが、このクソ字幕はこれだけに留まらない・・・。

あろう事か、本作の字幕は無駄にト書きまで表示するのだ!!!


◎ ト書きの例


1) 娘の父がドアを開くシーン

「ドアのきしみ音」と字幕で説明


2) 娘が事故を起こすシーンの前に不穏なBGMが流れる
 
「サスペンス音楽」と字幕で説明


3) 緊張感を盛り上げるために、音を切断し無音にするシーン

「音楽は止まります」と字幕で説明


4) 娘の母が洗濯をする為に洗濯機を動かすシーン

「洗濯機の回転音」と字幕で説明


5.娘と弟が山中で鬼ごっこをしているシーン

「足跡の実行」と字幕で説明



バカにしてんじゃねーよ!!

見りゃ分かるわ!!!

視聴者舐めとんのか!!


しかも、5の「足跡の実行」ってなんだよ!!!

せめて「足音の実行」だろうが!!!



唯でさえクソ字幕で興覚めしてるのにさ・・・何なんだよこのクソ手抜きは!!!

字幕翻訳した人、絶対に映画本編観てないだろ!!!


字幕を見ずに映像のみに集中しようにも、余りにもクソすぎる内容なので、どうしても眼に入ってしまうし・・・。

字幕を消そうにも消せないし・・・。

どうすりゃいいんだよ!!!


こんなクソ字幕だったら「スターウォーズ」だろうが「市民ケーン」だろうがどんな名作でも、たちまちクソ映画の仲間入りをしてしまうぞ!!



どうやら、アマゾンでは権利元の企業に字幕を丸投げしているようだが、流石にこれはチェックしなきゃダメだろ!!!

こんなの観たら一発で分かるぞ!!!

チェックする側がこれを見て正常だと思うんだったら、眼科・・・いや脳神経外科を一度受診した方がいい。



■ 総括


映画自体のクオリティは高いはずなのに、クソ字幕のせいで全てぶち壊された・・・。

YouTubeやニコニコ動画に噓字幕といった動画が上げられてるが、ある意味それより酷い出来だぞ・・・。

本作以外にも、幾つか見受けられるので、そういった作品は全て字幕を入れ直して欲しい。
ポルりん

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