うめまつ

海の上のピアニスト 4Kデジタル修復版のうめまつのレビュー・感想・評価

4.6
想像の20倍くらいメルヘンロマンチックな物語だった。こんなの大好きに決まってるでしょ。もっと早くマッチングしてよFilmarksさん!(有料版はそうゆう機能があるんでしょうか?) 演劇っぽく感じるシーンが多々あり、これが舞台だったらどんな演出になるのかなぁと想像しながら2倍楽しんだ。冒頭の石炭を焚べる火夫のシーンは即ミュージカル仕様にできそうだし、なんと言ってもあのピアノが船内を滑るあまりにファンタジックなシーン、円形の動く舞台で観れたら最高じゃないだろうか。海になった客席で波の泡のように揺れながら見てみたい。

1900は彼の弾くピアノのように軽やかで明るく飄々とした雰囲気を纏っているけど、心には絶対に埋められない穴がぽっかり空いていて、常に此処ではない何処か遠くを見ているようだった。知らない人に電話をかけて話相手を探したり、初めて恋をしてなんて声をかけるか練習してるとこなんて、中学生のようにピュアで微笑ましくも切ない。家族もルーツも故郷と呼べる場所もない。彼にあるのはピアノと寄るべない船だけ。その海の上の巨大な揺籠から出ることができない彼の一部は永遠に成熟できないままなのだろう。だけどその地上の雑音が入らない環境で生まれる濁りのない音楽は、この世のものとは思えないほど透き通った眩さで人々を魅了したんだろうな。まるで海の上で見る満天の星みたいに。
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