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メトロポリス 完全復元版のTOMJFKのネタバレレビュー・内容・結末

メトロポリス 完全復元版(1926年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

SF映画の祖に相応しい深みあるレトロ作品!

最近のマイブームですが、
本屋のワゴンなどから「名作映画DVD」を
500円で購入して観ています

今回は、1926年(大正15)ドイツ製作の
無声白黒映画「メトロポリス」

初めて118分のDVD編を観ましたが、
調べると、元々は3時間半の長編だったようで、
現在は、フィルム消失などで
全体を観る事は不可能のようですね


本作、まず有名なのが、登場するアンドロイドの姿が
「スターウォーズ」C3POの原点であること
これは、ほとんどパクリで、
J・ルーカスは、本作に敬意を表したものであろう
このドロイドの造形、あらためてレトロで味がある!
「映画史上、最も美しいロボット」と呼ばれるのも頷けます


次に当時のドイツの時代背景に関しては・・・

ヒットラーのナチス党が、政権を取るのが1933年で、
原作者・監督のフリッツ・ラングはユダヤ人のため、
ナチス政権以降、ドイツを脱出しているようですが

本作の製作時1926年は、まだ、それらの影響は無い

ストーリーは、
100年後の未来社会・・・
ブルジョア階級が摩天楼の豊かな地上世界を満喫している一方、
労働者階級は、地下都市に住み、
ブルジョア社会を支える機械システムの労働を日々、繰り返すのだった

そんな労働者層の癒しの対象、精神的な救いの対象が、
平和の使者マリアで、彼女は、

「支配者という脳と、労働者という手とを、つなぐ仲介者は心である」
という思想を彼らに伝達し、
「近いうち、その仲介者は現れる」
と説くが、

それを見た支配者が、彼女とそっくりな姿のアンドロイドを作り、
今度は、その労働者層=群集に、一変してシステムの破壊と暴力を説くようになる

天使である彼女の言葉を信じた群衆は、機械システムを破壊したが、
それによって発生した大洪水が、自分たちの子どもたちの住む住居も破壊したため
労働者層の大人たちも、初めて自分たちが自分の首を絞めていたことに気付く

最後は、
労働者の代表と支配者の代表が
握手をして、共に手をつないでゆこう

ということになるのだが、
ストーリー的には、なかなかだが、
もう少し深みと整合性が欲しかった

それでも、映像的には見事だった
都市やセットなどの造形も味がある

1500人ものエキストラを出演させたり、
大掛かりな映画でもあった
当時のドイツ、
1928年以降の経済の悪化までは、豊かさや平和もあったのであろう

そのような中、
1926年にこのような階級闘争を描いた映画、
社会の未来に警鐘を鳴らす映画を作ったとは驚きでもある


主演女優のマリア、
ドイツ人でブリギッテ・ヘルムという
当時20歳の彼女も美しい!

女神のような可憐さと、
アンドロイド役では取り付いたような妖しい目付きの悪女役と
二役を見事に演じています!


いやあ、本作は総合的には、
時代を超えて人類の文化遺産、
素晴らしい高評価の芸術作品であることが、よくわかりました

これも私の貴重なDVDコレクションになりました

500円ですから、皆さんもぜひご覧ください!
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