りょうた

空に住むのりょうたのネタバレレビュー・内容・結末

空に住む(2020年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

傑作かと言われるとそうとは思わないけど、皆さんが指摘しているほど駄作では全くない。感情移入なんてしなくていいと思う。感情移入ができるかできないかで作品の善し悪しを決めてしまうのは勿体無い。確かに突拍子もない登場人物かもしれないが、その突拍子のなさにどこか親近感を覚えてしまう。これは別に自分に限った話ではなく、作品を見た観客の中に同じことを思った方もいるはず。饒舌に語る映画よりも何か空白というか、欠落があるような映画の方が断然好きだ。
猫の演出が抜群に良い。犬よりも撮りにくいであろう猫を、あそこまで撮れるのは凄いんじゃないか。多部未華子や『愛がなんだ』の岸井みゆきもよかった。何度も反復される川の上を電車が駆け抜ける超ロングは印象的。この作品において電車は大切なモチーフかもしれない。高層マンションの39階に住んで、それも雲に例えられる多部未華子にとって、地上を這いずり回る電車は対照的な存在だといえるかもしれない。39階のマンションにいるときでさえ、遠くで電車の走る音がきこえてくる。こだまのような、呼び声のような……。最後の主題歌のミスマッチ具合には笑ってしまったけど。
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