アニマル泉

呼応のアニマル泉のレビュー・感想・評価

呼応(2013年製作の映画)
4.3
小田香の短編 19分
風でたなびく幕ごしに見える牛の点景、「あの優しさへ」にも使われた窓際の書斎、屋上の旗が風で翻る、すべて端正な固定ショット。タル・ベーラの影響大だ。
刺繍する手のアップ。羊の群れ。羊がモグモグとひたすら草を食べる音が面白い。「手」や「音」は小田の重要な主題だ。
クライマックスは曲がりくねった道のロングカットの長回し。タル・ベーラである。
しかし動きがある、そのタイミング、テンポがいい。牛が車の邪魔になってノロノロ動く、水しぶきをあげて車が通る、長い無人の空ショット、遠くから歌が聞こえてくる、何かの集会が終わったのか、やがて続々と人々が出てきて車と人でたちまち渋滞になる。このテンポの良さは小田のものだ。
回る遊園地の器具、手を繋いで踊る女たちのダンス、タバコをふかす男たちのアップ。ダンスの音楽が無音になって踊る足の草を踏む足音とリズムをとる鐘だけになる。ここは鮮やかだ。ラストは無人の椅子の器具が風でゆれている。
「音」と「ゆれる」が主題として印象的に浮かび上がった作品。タル・ベーラの影響と自らのスタイルの模索の間で作品自体が揺れているのが面白い。
アニマル泉

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