けーはち

女王トミュリス 史上最強の戦士のけーはちのレビュー・感想・評価

3.5
アケメネス朝ペルシャのキュロス大王を討った現カザフスタンの遊牧民族の女王トミュリスを描く時代劇。直前に見た「フューリアス」と奇しくも同じ構えで目をひかれてしまった。前半は後世のチンギス・ハンよろしく苦労して王の座に返り咲いたカリスマとして部族間を統一する流れ、後半は夫と息子を殺された彼女が帝国に挑む姿が描かれる。「ベン・ハー」「トロイ」「レッドクリフ」辺りのハリウッドや中華系の大作時代劇で見慣れた作劇やら戦闘シーンが散見されるし、敵をビシバシやっつけながら好きな男とイチャついたり、敵の首を取って「そんなに血に飢えとるならテメーの血を飲んどれやー」と捨て台詞を吐いたりする強く美しく気高い女性が颯爽と活躍するあたり、フェミニズムが浸透した現代人に非常にウケやすい作劇となっている。それだけに驚きはないけれど、古代の遊牧民がかつて世界最強だった頃の姿を垣間見せてくれる佳作である。