よしまる

シャザム!~神々の怒り〜のよしまるのレビュー・感想・評価

シャザム!~神々の怒り〜(2023年製作の映画)
3.5
 前作から4年も経っていることにとりあえず驚く。
コロナのせいとはいえ時の流れは残酷だ。

コドモがオトナのヒーローに、しかもチームを結成というシチュエーションが抜群だった前作のときのまだあどけない子供たちがすっかり大人びてしまい、女の子に至っては成長しすぎて変身前と変身後を同じ役者が演じてしまうことに(まあ前作の子役のときに既に20代だったのだけれど)。

前作は個人的に4点超えの大傑作。まだフィルマにちゃんとしたレビューをしてなくて、思うがままに端的な感想を書いていた頃だ。見返すと、
「そうだよな、子供の頃は喧嘩してもすぐ仲直りするし、楽しいことがあれば辛いことは忘れるし、細かいことはどうでもよかった。そこに忠実に作られていた。だから突っ込み所なんてどこにもない。お見事!」とか書いていた。

コドモなんてものは、例えば親は鬱陶しいだけの存在で家族愛なんて意識しないし、仲間と言ってもその時に楽しいかどうかで後知らね〜てな感じ、ましてや責任感なにそれみたいな生き物だ(極端に言えばね)。

だからそんな存在が力を得て英雄になるという面白さがあり、普通のヒーロー物とはちょっと異なる魅力を持った作品だった。

それが、いつの間にやらティーンエイジャーになり、恋もすれば親や兄弟姉妹のことも大切に考える、自分の居場所を探したり、存在価値を考えたりもしてしまう。

てことは、もうコドモじゃない、未完全とはいえ立派なオトナ思考なのだ。

ラストに、あの神様が登場して導いてくれるのだけれど、ハチャメチャなコドモヒーローではなく、ただの悩めるオトナの階段登りかけヒーローであり、そうするとスパイダーマンを始めとする若者が主役の新米ヒーローと大差がなくなってしまい、ビジュアル的にはオッサンが赤タイツなだけに(そこは言わないで💦)、むしろ凡庸なヒーローでしかなくなってしまったと言わざるをえない。

とはいえ、その神様は伏線を張り前フリ全開で肩透かしておきながらのサプライズ登場にはテンション爆上がりしたし、ヘレンミレンにルーシーリュー、さらにウエストサイドストーリーのマリアと、豪華キャストによるズッコケヴィラン大作戦は余興としては充分楽しめた。

DCって映画のせいでめちゃ暗いイメージあるけれど、元々はマーベルよりも明るいお子様向けって感じだったはずだし、そういう点ではベンアフレックのバットマンや、マーゴットロビーのハーレイクイン、モモアマンあたりとか、同じシャザムつながりのドウェインアダムとの絡みもぜひ観たかったところではあるが、このままフェイドアウトかなぁ、、いろいろ惜しい。