シシオリシンシ

ザ・フラッシュのシシオリシンシのレビュー・感想・評価

ザ・フラッシュ(2023年製作の映画)
4.2
4DX2D吹替で観賞。
実質DCEUの最終作になる作品。
製作に時間をかけただけあってアクションもりもり、クロスオーバーしまくり、サプライズキャストに驚き、結果として高水準なエンターテイメント映画に仕上がっていた。もっと早くにこの映画が出せていたらDC映画の方向性もプラスな方向に変わっていたかもしれない。

まずフラッシュの最初の疾走で心を掴まれる。
私は4DXで観賞したが、スピードスターの疾走に合わせてダイナミックに座席が揺れ、劇場に吹く風によりフラッシュの感じる風の感触を擬似体験でき、心踊るシーンの演出効果を何倍にも増してブーストしてくるものだから笑みがこぼれないわけがない。

今作はアクションがとにかく多い映画になっているので、4Dでは腰が痛くなるほど座席が揺れまくるサービスドカ盛りっぷり。
今回の4DXはホントにオススメ!

表題こそフラッシュだが、実質ジャスティスリーグ2と言っていいほどキャラが出まくるのでDCEUを追ってきたファンなら「これが見たかった」と感涙するのではと思うほど総まとめのような作品になっていた。ここから繋がるジャスティスリーグ、かなり見たいぞ。

今作はいわゆるフラッシュポイント、すなわちバリーの過去改編が話の軸になっており単純にヴィランと戦って勝つことが勝利条件になっていない。
死ぬはずだった母を救ったことで起きる破滅の未来、変えられぬ因果律こそが今回の敵と言ってもよい。
バリーが最後に下す決断は「諦める強さ」を受け入れて世界を救った切ないもの。それは完全無敵のヒーローではないバリーだからこそ出来た選択だった。

と主軸はあくまでシリアスなのだが、しょっちゅうオフビートな笑いを差し込んでくるので終盤以外はライトに楽しく見れる明るいエンタメになっていて良かった。

あえて苦言を呈すとすれば、終盤の時間巻き戻しの流れがテンポが悪かったところ。そこをタイトにまとめていればよいバランスの映画になっていたと思う。

あと極めて私事だが、アローバースのフラッシュ(グラント・ガスティン)が共演することを期待していたが、今回は叶わず。
しかしそのことの残念さより映画の楽しさが勝っていたのでここは嬉しい誤算だった。

私としては総じて満足のいくエンターテイメント映画になっていて、DCのクロスオーバー映画の面目躍如と言うべき底力を見せてくれた。

惜しむらくは、これがDCEUの最後の花火になってしまったこと。
次代のDC映画がどの方向に行くかまだ分からないが、叶うならばこの映画をベースにして新たなユニバースを築いていってほしいと願う。
それくらい良い映画だった。
シシオリシンシ

シシオリシンシ