なお

ザ・フラッシュのなおのネタバレレビュー・内容・結末

ザ・フラッシュ(2023年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

DCEU第12作。
今まで単独での映画作品が存在しなかった、超高速で移動可能なスーパーヒーロー、フラッシュことバリー・アレンにスポットを当てた作品。

バリーを演じるエズラ・ミラーに昨年スキャンダルがあったので公開延期とかにならないかちょっと不安だったが、まずは無事公開となってよかった。

✏️「24」の答え
そんな自分の不安を払拭する、素晴らしい”スーパーヒーロー映画”だった。

ジャスティス・リーグのメンバーの中ではムードメーカー担当のフラッシュの単独映画ということで、どちらかというと「シャザム」寄りのコミカルでおちゃらけた雰囲気なのかな~と思いきや、そんなことはなく。

もちろんフラッシュを主人公に据えた作品らしい笑いどころは存在するのだけれど、むしろ最近は食傷気味になりつつある「マルチバース」の設定を、MCUのそれとはまた違った視点で有効活用した骨太なSF作品にも自分の目には映った。

あまりにも移動速度が速すぎて、ついに時空をも越えられるようになってしまったフラッシュ。
彼は偶然発見した自分の能力を活かし、亡くなってしまった母が「生きている未来」を創るため時間を巻き戻し、過去を改変する。

「母が買い忘れたトマト缶をたった一つ、買い物かごに入れるだけ」
なんてことはない。
フラッシュの能力を持ってすれば1秒足らずでできてしまう行為だが、その行いは未来にとんでもない大事件を引き起こす。

「計算の結果が24となる計算式は?」
10+14は24だし、6+6+12もまた24。
1を24回足したって、結果は24。

幼少期のバリーが劇中母に不満を漏らしていた通り、そんな計算結果は世の中に無数に存在する。
だがしかし、どこでどんなに値を入れ替えたり計算する順番を変えようが、答えは同じ「24」。

「未来は変わらない」
そんな「諦め」とも、「結果を受け入れ前に進まなければいけない」という覚悟を決め、愛する母と最後の対面を果たすバリーの姿には思わず感涙。

✏️数々のサプライズ
フラッシュの過去と現在、そして未来を巡るヒューマン・ドラマはもちろんのこと、本作もDCEUらしいサプライズ満載。

最近では『AIR/エア』でNIKE社長のフィル・ナイトを演じたことも記憶に新しいベン・アフレックは当然のこと、DCEUとしての前作『シャザム!~神々の怒り~』に引き続きワンダーウーマンことガル・ガドットも出演。
やっぱワンダーウーマンのテーマBGMは聞いた瞬間鳥肌がゾクゾクっと立ってしまいますな。

スーパーマン/クラーク・ケントのヘンリー・カヴィルは残念ながら出演を果たせなかったが、その代わりに様々なバースのスーパーマンたちが登場。
…オイオイ、そっちの予習はさすがにしてないぞ?

1978年版の「スーパーマン」、演じたのは今は亡きクリストファー・リーヴ。
作品こそ見たことはないけれど、DCEUを見る前にスーパーマンと聞いてイメージしていたのは彼の姿だ。

そしてニコラス・ケイジ演じるスーパーマンの姿も。
あれ?ニコラス・ケイジってスーパーマンやってたんだ…と思いきや、これは企画段階で頓挫した「ニコラス・ケイジ版スーパーマン」を別バースのスーパーマンとして登場させたサプライズだったとのこと。
誰がそんなこと知ってんねん。

そして自分にとって最大のサプライズだったのが、本作における一連の事件解決後のバースにおける「バットマン」の存在。
まさかジョージ・クルーニーが、わずか数秒とはいえまたブルース・ウェインを演じてくれるなんてよォ…!!!
マジで予習しといてよかった。

ジョージ・クルーニーは1997年『バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲』にて”1作だけ”ブルース・ウェインを演じたが、興行的な失敗と酷評を受け「もう2度とバットマンはやらない」とまで発言していたらしい。
そんな彼が26年越しにまた復活するなんて…

これまた四半世紀ぶりにバットマンとしてスクリーンに蘇ったマイケル・キートンが霞んでしまうくらいの(失礼)サプライズを自分に届けてくれた。

「もう2度とやらない」
そんな発言をいい意味で反故にして、ヒーロー映画ファンたちの心を満たしたジョージ・クルーニーに敬意を表して、ジョージポイント+★1つとさせていただきます。

☑️まとめ
本作は、2013年『マン・オブ・スティール』から始まったDCEU作品群…いや、DCコミックスを題材としたこれまでの映像作品たちの”まとめ”でもあり、”始まり”とも取れるほど、内容が簡潔かつ包括的にまとまっている作品である。

本作にて「DCEUは終わり」と報じるメディアもあれば「リセット(=またここから始まる)」と報じるメディアもあり、DCEU制作陣の次の一手に関する報道が待たれる今日このごろ。

だがしかし、本作の存在によって「これで終わりです」でもいいし、「またここから新たな物語が始まるぜ!」でもいい。
様々な形での布石を置き、「新たなスタート」を切りやすくする作品になったんではないかな。

DCEUのこれまでとこれから。
初の単独作品ながら、ある意味での記念碑的作品になる可能性を秘めているのかもしれない。

<作品スコア>
😂笑 い :★★★★☆
😲驚 き :★★★★★
🥲感 動 :★★★★☆
📖物 語 :★★★★☆
🏃‍♂️テンポ :★★★★★
😎ジョージ:★

🎬2023年鑑賞数:64(29)
※カッコ内は劇場鑑賞数
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