柿トマト

ザ・フラッシュの柿トマトのレビュー・感想・評価

ザ・フラッシュ(2023年製作の映画)
3.0
そんな猛プッシュ…するほどなのか?

電光石火のごとく猛スピードで移動できるアメコミヒーロー・フラッシュの活躍を描いた本作。ジャスティス・リーグに引き続きフラッシュをエズラ・ミラーが演じる。

本作でフラッシュは高速で移動できるあまり、ついに時間を超えることができることが発覚。その能力を駆使して、過去に何者かによって殺された母親の命、そしてその殺害容疑のかけられた父を救うことを決心する。具体的には母親殺害の当日、トマト缶を買い忘れたという母親に、父は忘れた分を買いに行く。その時に家に侵入した何者かの凶行を阻止しようというのだ。それには、買い忘れたという母の買い物カゴにトマト缶をそっと入れてやるだけ。そんな簡単な作業で母が生き返るのなら万々歳だというもの。

ここまでのストーリーで自分は少々頭が痛くなってきた。そんなことするくらいなら、フラッシュが犯人と戦おうって発想にならないのかって。仮にもヒーローなのだから一般人である(はずの)犯人に対しては完封できるくらいの強さは持っているのは明白。フラッシュが身内の母に会ってはいけないと言うなら、マスクするなり、自宅前で犯人を迎え討つなりの対策がとれたはずである。この時フラッシュは間違ってもやり直せると信じているのだからたとえ失敗しても大丈夫なはず…なのにである。

前半のほんのさわりの部分で、作品全体の「そういう人物って、そういう動きをする?」という疑問についていけなかった。なので小気味の良い(と思ってる)ギャグにも腹が立つし、この後の展開も甚だ微妙の一言に尽きる。

確かに、バットマン(マイケル・キートン、ベン・アフレック)の登場や、今回初めてスーパーガールを演じたサッシャ・カジェの魅力など、DCファンにアガる展開、盛り上がる要素があるのは間違いない。他にもサプライズは用意されていて、良いお祭り映画として見応えがないわけではない。

ただ誇張したような宣伝ほどではないというのが本音、「史上最高のヒーロー映画」だとか「トム・クルーズがベタ褒め」みたいな情報が先行しすぎて期待を煽りすぎてる。こんな映画が企画として通るのならお蔵入りした『バットガール』も映画公開してあげてもいいのではないだろうか。これが「最高」だとするならどんな作品でも「それなり」になるはずである。

さらに言うと、たとえ本作が「史上最高」のヒーロー映画だったとしても、DCEUのゴタゴタのニュースを聞いていたら興が削がれるのではないか?このシリーズも少し応援する気が無くなってきた。
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