じゅ

ザ・フラッシュのじゅのネタバレレビュー・内容・結末

ザ・フラッシュ(2023年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

えええ
人すげー
キートンにシャノンにケイジにクルーニーだ。
あとはよう知らんけどまあたぶん大物揃いなんだろうな。

でもまあなんとも厄介な結末を迎えたな。そして近年のアメコミ名物、良い雰囲気に水を差して自らブチ壊す続編宣言。本当に瞬間を楽しむためにつくられてんな。あとエズラ・ミラーって続投できるんだろうか。
でも崩れた病院から放り出された赤子と看護師とセラピードッグをバリーが救出するくだりですげえ顔の犬に焦点を当てたエンディングは笑った。トルティーヤ食おうとしてる場合じゃないんよ。


バリー・アレンは今日も仕事に遅刻する。ゆったりマイペースにサンドイッチを作る店員を待つ間、あいにくアルフレッドから招集令がかかる。ファルコーネのバカ息子が病院から街を滅ぼすレベルのウィルスを奪い、病院の建屋が崩壊しかけているとのこと。バットマンはバカ息子を追い、スーパーマンは別件で火山の噴火の被害を食い止めている最中で、ワンダーウーマンやアクアマンも先約で駆けつけられない。バリーは仕方なく店のトイレに入ると、閃光と共に一瞬にしてヒーロースーツに着替えた。そう、彼は最速のヒーロー
「Oh my god!! Flash!!!!」
「I love you!!!!」
彼は最速のヒーロー、フラッシュ。街を駆け川を駆け荒野を駆け、遠く離れた現場へ瞬時に駆けつける。一瞬にして、陥没する道路に落ち掛けた人々を救出して地下の水道や電気設備の被害の拡大を食い止めて崩壊した棟から放り出された幼児たちと看護師とセラピー犬を救い出した。一方でバットマンは壮絶なカーチェイスの末にバカ息子を確保する。半日で街の人々を死滅させるウィルスが川に落ちそうになったところ、助太刀に来たのはワンダーウーマン。今日もジャスティス・リーグにより街は救われた。フラッシュは一瞬にして店に帰って一市民バリーの姿に戻り、ちょうど完成したサンドイッチを受け取って出勤する。

バリーは翌日に父の裁判を控えていた。少年の頃、母が買い忘れたトマト缶を父が買いに行っている間に母が強盗に殺され、父が冤罪で有罪判決を受けた事件の再審だった。父のアリバイを示し得る当時の防犯カメラ映像を入手したが、帽子で顔が隠れて映像の男が父であると示すことは困難だった。感情を紛らわすように街を駆け回るバリーは、光速を超えてタイムトラベルができることに気付いてしまう。両親を救うため、あのとき母が買い忘れたトマト缶をそっと買い物カゴに入れることで父の外出の事由を潰し、家に強盗が入ることを防いだ。タイムトラベルの帰路、今まで築けなかった両親との思い出が次々と生み出されていく。ところが、不意に現れた謎のヴィランにタイムトラベルへ介入され、謎の年代に放り出される。
その世界では、バリーの生家に当たり前のように両親がいて、息子を迎え入れた。そこではバリーは18歳、この日はフラッシュとしての力を授かる日だった。この日この世界のバリー(仮にバリー2)が力を授からなければ、未来の姿である自分(仮にバリー1)の力はおそらく失われる。バリー1はバリー2を、自分が稲妻を受けた場所へ連れ出した。嫌がるバリー2を宥めるうちに、稲妻が2人を貫く。バリー1の力がバリー2に移り、バリー1は力を失った。さらに、クリプトン人を捜すゾッド将軍が地球に襲来する危機的状況が訪れる。バリー1はこの世界のジャスティス・リーグを結成すべく仲間を探す。しかし、サイボーグのビクターもワンダーウーマンのダイアナもアクアマンのアーサーも、この世界にはいないようだった。
バリーらが向かった先はとある朽ちた洋館。ここにはバットマンことブルース・ウェインがいるはずだった。現れたのはボサボサの初老の男。彼は確かにブルースだが、今やゴッサムシティは世界一安全な都市となったため隠居生活をしていた。経緯を説明するバリー。ブルースが言うには、要は過去のある時点に干渉するとその時点から見た過去も未来も変わってしまうとのこと。時間の進み方は一定とは限らず、バリー1の親友のブルースとこのブルースの年代が違っても何ら不思議ではない。そして、どの時間軸でも通ることが不可避の、どうやり直そうが変えようのない出来事が存在する。つまりは運命、例えばブルース・ウェインが両親を亡くすこと。バリーはブルースに状況を是正するため協力を頼むが、ブルースの答えは「パス」。
バリーらはブルースがかつてバットマンとして使っていた拠点に忍び込み、独自の情報網からスーパーマンことカル=エルの情報を探した。どうやらシベリアの軍事施設に幽閉されているらしい。そこへバリーの熱意に突き動かされたブルースが再びバットマンの装束に身を包んで現れ、バットウィングを起動させた。3人でシベリアの施設へ乗り込み、スーパーマンが幽閉されているらしい場所を暴くと、想定とは違ってそこにいたのは弱り切った少女だった。それでも見捨てることができないバリーは彼女を抱き抱えて連れ出す。どうにか施設から脱出するも、ブルースと2人のバリーは多数の兵士に取り囲まれる。兵士たちが銃口を向ける先は、空に浮かぶ少女。一斉射撃をものともしない少女は次々と兵士を倒していく。彼女こそバリーが捜していたこの世界のスーパーマン、もといスーパーガール、カーラ・ゾー=エルだった。
バリー1は自身もこの世界のゾッドと闘うべく、感電事故を再現する装置を造る。なぜそこまでするかとブルースが問う。自分の世界では母が殺されたが、ここでは生きているから。その会話をバリー2は密かに聞いてしまった。装置による事故の再現は失敗するも、カーラが雲の上にバリー1を連れて行って雷を受けさせ、彼は再びフラッシュの力を授かった。
バットマン、スーパーガール、2人のフラッシュは、米軍への攻撃を開始したゾッドの元へ飛んだ。バットマンがゾッドの部隊の戦闘機を墜とし、スーパーガールがゾッドに立ち向かい、フラッシュ×2は連携してゾッドの兵を倒す。善戦していたが、ゾッドの母艦にバットウィングを墜とされ、スーパーガールはゾッドに敗れ絶命する。2人のフラッシュはタイムトラベルで少し過去に戻り戦況を変えようとするも、再びバットマンとスーパーガールは命を落とす。何度もやり直すバリー2と何かに気づいて足を止めるバリー1。どうやら2人の死は不可避なのではないかと、バリー1は気付いた。恐らく何度立ち向かってもゾッドに敗れ、この世界は滅びる。そんなことを受け入れられるはずもないバリー2は、傷を増やしながら何度も何度も戦闘をやり直す。そこへ再び現れた、バリー1をこの世界に突き飛ばした謎のヴィラン。その正体は、長い間やり直し続けたバリー2の成れの果ての姿(仮にバリー3)だった。バリー3がバリー1をこの世界に突き飛ばし、バリー1がバリー2にフラッシュの力を授け、バリー2が次のバリー3の役割を担うまでゾッドとの戦闘をやり直し続けるループが繰り返されていた。やり直しに協力できないというバリー1にバリー3が襲い掛かり、バリー2が庇う。バリー3自身に他ならないバリー2の命が消えていくのと同時に、バリー3も塵となって消えていった。バリー1は自らの行いを正すべく、自分自身が母の買い物カゴに入れたトマト缶を元に戻し、元の世界に戻っていった。
元の世界に戻ると、その日は父の事件の再審の日。急いで裁判所に向かうと、スーパーマーケットの防犯カメラ映像が父のアリバイの証拠として取り上げられていた。その映像では、なぜかトマト缶が棚の上段にあり、父が上を向いていたため、帽子に顔が隠れておらずアリバイとして十分な証拠になっていた。裁判を終えたバリーは、ブルースからの電話を受けた。そちらに向かうと言って、到着した車から降りてきたのは、今までのブルースとは違う初老の男だった。世界は何かが変わったままだった。

世界を元に戻すべく、バリーはアクアマンであるはずのアーサー・カリーに接触する。泥酔していて話にならなかったが、アトランティスの宝物の指輪を付けており、どうやらアクアマンであるらしいらことは確認できた。


原因があって結果があって、結果がまた原因を作って、...っていうループ。やってたことは、俺の記憶と照らし合わせると『プリデスティネーション』とかPS3の『SIREN: New Translation』みたいなイメージ。
なんでループさせてるかって、やり直して結果を変えたい事柄があるけど、一向にそれが叶わないからなのよな。いつだって道を切り拓いて最後には勝つのがヒーロー、かと思いきや、彼らの場合ただひたすら負け続けるってのがなんかすげえ。ようやったな。しかもそれを、もう負けを知ってもいいあるいは負けを知ってる未練とか後悔まみれの枯れかけの老ヒーロー(そんな言い方ある?)じゃなくて、若手も若手にやらせるとか。

まあでも何も違和感ないところまじDC。いやDCもMarvelも大して知らんけど、なんかDCだとキャラがやたら暗い背景持ってたりとかしてる印象。『SHAZAM!』だってあんなふざけてるけど孤児だもんな。でこのバリー・アレンは母が殺されて父が冤罪で逮捕されて今の今まで塀の中か。フラッシュのこと何も知らんで行ったけど、こりゃああんまりすぎるて。そんなん過去を変えたくなるのも無理はないよな。

あんなどぎつい避けられぬ世界終焉ループを若造に体験させて、でもその後は若造の成長譚みたいなかんじで締めるのすご。あの世界のブルースとかいう師匠(的な人)の死があって、その師匠の「変えられないもんは変えられないぞ」っていう旨の教えもなんやかんや理解する瞬間が来て、変えたかった過去だって俺の重要な要素の一つじゃんみたいなノリになって、その先で今自分に残されているものに希望が宿っていることに気づく、っていう。(まあ元いた世界すら何かが変わっちゃった結果みたいだけども。)
なんか、最終的に自分自身の亡霊みたいなもんを結果的に自分自身で消し去るってのが妙に印象的。


ちなみに、こんなこと言っちゃあ難だけど、世界変わっちゃったら悪いんすかね。ブルース・ウェインがアフレックからクルーニーになったらそりゃあバリーには気持ち悪いだろうけど、まあ平和なら良いんじゃないすか。バリーがトマト缶を入れて戻す前の世界で例えば俺が極端な話アラブの王族だったとしても特に何とも思わん。結局今の存在以外の何者でもないことが今の世界での事実になってしまっていて、実は王族だなんて露とも思いもしないもんな。

まあそれが、平和じゃいられなくなるんだろうな。そうじゃないとシリーズ続かないもんな。俺は冒頭みたいなフラッシュの曲芸とかジャスティス・リーグが毎日懲りずに現れる(彼らからしたら)小悪党をボコスカ狩ってくのとかその晩アーサーが吐瀉物スプラッシュして水溜りで寝るほど泥酔しながら頑張って帰宅するとかそんな平和な様子を垂れ流してくれても良いと思ってるけど。
いいな、それ観たいな。でろんでろんのぐでんぐでんに泥酔したモモアのアーサーの家路を見守るアクアマン ファー・フロム・ホームな。マフィアの顔面にゲロスプラッシュしてブチギレられて殺しにかかってくるんだけどそれはそれはもう圧倒的に強いこの酔っ払いが酔拳の如くブチのめしたりとか、そいつらが実はゴッサムPDのバットマンのまぶだちのゴードンだったかって刑事が追ってた反射連中だったりとか、ふらっふら歩いてたら車に轢かれて逆に車が大破して運転手が怪我して病院に引きずってったりとか、なんか、そんなん。
くだらねえ。


キートンのブルースの説明だと、なんやら時間軸(って言えばよいの?)がドカンと1本あって、そこに様々な事象が乗っかってくかんじの世界観ってことでいいのかな。事象って例えばある個人の生涯とか。その時間軸が普通は交わらず並行してるんだけど、どっかのアホが過去をやり直すと時間軸が交わるようになってくみたいな。過去は共通しててもその過去で何かしでかすと未来が変わってそれに辻褄を合わせるように過去も変わるみたいな。ようわからんけど。
なんか、個人的には並行世界の話って、元々別々の世界が別々に走ってるかんじか、元々1つだった世界があることが起こった世界と起こらなかった世界にどんどん分岐してくるかんじの2通りがあるっていうイメージを持ってる。それらって別々の考え方だと思ってたけど、本作だとそれら2つが混ざり合わさったような世界観になってたから、俺にはイメージしにくかったんだろうな。
まあなんかノリは伝わった気がするから全然問題ないけど。

あのタイムトラベルしてる間もバリーの時間は進んでくんだ。それを思うと時間軸って何なんだろ。2人のバリーの世界を行き来するバリーが存在する時間軸が存在してる?それは2つの時間を包含してて、「過去に戻る」行為すら順方向の時間の出来事に過ぎない的な。
なんか毎回そんなこと思ってる気がする。そう思うのが一番簡単だもんな。
まあ実際のとこ整合性とかどうでもいい。おもしろけりゃ正義。


画すごい。
めっちゃ速いやつの視点で逆に世界が止まって見えるかんじの描写すき。X-MENのシルバーなんとかとか、ソニックとか。てかフラッシュって物体を透過するとかそんな便利機能付いてるんか。強すぎか。謎に治癒力も高いし。光みてえな速さでブン殴れる時点でやばいけど、さすがに自分の身ももたないからインパクトの瞬間勢い殺してるかも。

ガルさん登場一瞬なのに画力やばい。まじ美神。アフロディテ。

カーラが自分よりでかい何かの部材でゾッドをバチボコにブン殴るとこ20分くらい見てたい。
バリーに宇宙なんとかって呼ばれてたあのゾッドの軍のめっちゃ強いやつをブルースが爆破しまくるとこも5分くらい見てたい。

毎度思うけど、バットマンって重武装しただけの一般人なのにあんな軍隊とか人外の群れに飛び込んでく度胸まじ凄い。おめえどんだけ装甲硬くても無防備な口元の辺りからブチ抜かれたら終わりだかんな。
バリーにした時間軸の交差だったかの説明の納得"感"はすごかった。

あとめっっっっちゃミートソーススパゲティ食いたくなる。
じゅ

じゅ