MCらんた

ザ・フラッシュのMCらんたのレビュー・感想・評価

ザ・フラッシュ(2023年製作の映画)
4.0
運命は変えられないと言ってるわけでも、別の世界を救えないわけでも無い思う。この作品はずっと"過去は変えられない"でも"未来は変えられる"と言うテーマの倫理は一貫している。だから最後のトマト缶は「ルール違反」さえもアリ。その倫理が、時間は一直線じゃないとか、分かりやすい書き換えのタイムパラドクスじゃなくて円城塔の時間破局イベントみたいなのを採用してる脚本上の理屈と噛み合ってないんだけど・・・

最高傑作かは知らないけど、自分がヒーローユニバースもの映画に求める勘所は圧倒的にこっち。ヒーロー映画じゃなくて、ヒーローたちの映画。オリジンじゃなくて、既にスーパーパワーを持った人間を起点にしたドラマ。

やっぱり"超能力者が当たり前に居る世界"の上手さはDCEUが圧倒的。フラッシュの単独作としてこっから入ってもOKだけど、全体の大きな流れとしては「ジャスティスリーグ」直結の続編としても見れて、自分がユニバース映画・・・つーかMCUフェイズ4以降に求めてたツボを圧倒的に抑えてる。問題は「ジャスティスリーグ」からもう6年も経過してることなんだけど・・・

映画の冒頭、ジャスティスリーグが人命救助しながら悪いギャングをとっちめる、ヒーローの素朴でシンプルな活躍シーンがあるのがとても良かった。そりゃアニメとかでウン万回も見たくだりだけど、やっぱり実写ユニバース映画でこの地点は凄く見たかった。「ザ・フラッシュ」も言ってしまえば近年のヒーロー映画にありがちな自業自得のドラマ(ヒーロー自信の苦悩が起点)なんだけど、冒頭の素朴な善行があるから厭らしく見えない。ちゃんと初めに愛すべき善人であることを提示する地点を用意したのは上手いし偉い。意味のあるシークエンスだったと思う。
ただお話自体は中編で済みそうなエピソードを引き伸ばしてる感じ。とくにパワー喪失の流れは長いわりにバリーのドラマにも時間旅行にも何も関係無くて退屈だった。そっちよりは時間と世界の破局に直結してるゾッド将軍ステージ周回プレイの方にプロットを割いて欲しかった。

それから今作うぃ見て、悲しいことに、むしろ自分はベン・アフレックのブルースがツボなのがハッキリと良く分かってしまった。マイケル・キートンのブルースも素晴らしいけど、89年の彼と完全なイコールの人物では無さそうだし、うーんバリエーションとしては面白いけど・・・くらいの感じ。
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