RitO

ザ・フラッシュのRitOのネタバレレビュー・内容・結末

ザ・フラッシュ(2023年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

結論から書くならば、全てが高水準にまとまった傑作。

アクション面では、最初のベン・アフレック版バットマンの高速道路上でのアクションと、マイケル・キートン版バットマンのロシア収容所でのアクションの2シーンが印象的。どちらもコウモリの羽のシルエットのマントが、飛ぶ、守るといった形で活かされていくのがシンプルに格好いい。また、マイケル・キートン版バットマンの当時のセットが現代の映像で蘇っているのも興奮できるポイント。

キャラクター面に関しても、どのキャラ魅力的で、特にバリー・アレンの明るく振る舞う性格は、周囲がスローに見えるというどこかコミカルな観せ方をするフラッシュの能力にマッチしていると感じた。

物語に関しては、「過去の傷が我々を作る」という序盤に示される解答に、バリーが過去の自分自身と触れ合うことで気づくという流れになっていて、マルチバースの設定を上手く活かしていると思う。クライマックスの母親との会話は、仕方ないとわかっていても切ない想いになるし、一貫して親子の愛情が描かれているのもそれを後押ししている。
また、マルチバースをスパゲッティに例えるのは今までになかった説明、考え方で新鮮だった。

ただ、ゾット将軍との戦いの決着が作品内では描かれないことや、ユニバース同士の衝突も大惨事にはならないなど、少し物足りないと感じてしまうのが正直なところ。作品全体がどこを取っても完成度が高い分、より突き抜けた何かを求めてしまう作品だな、と(高望みなのは勿論だが)。
RitO

RitO