てる

ザ・フラッシュのてるのレビュー・感想・評価

ザ・フラッシュ(2023年製作の映画)
3.4

DCコミックぽくない作品でした。
DCって暗くて、ジメジメしていて、グロテスクとは言わないまでもビターな作品が多いように感じるが、この作品はかなりコメディに富んだ作品だった。とはいえ内容自体はシリアスではあったけども。

フラッシュって『ジャスティス・リーグ』でしか観たことない。ドラマ版があるけど、長くて観てないので、どういうヒーローなのか知らなかった。
MCUでいうところのスパイダーマン的な位置の人ってイメージ。つまり、若輩者で蔑ろにされがちだけど、実力はそこそこある的なイメージだ。
そういえば、スパイダーマンもメタバースの作品やってたなぁ。やっぱり幼いヒーローは過去を変えたがるし、それを実現しようと厄介事を引き起こす問題児なのね。

今回はフラッシュが引き起こして、フラッシュが解決した。酷い言い方をすると一人相撲なわけだが、そこに家族の話を持ち込まれると、共感せざるをえない。
フラッシュって子どもなんだよね。思考が安直で突発的。今回はその性格が悪い方向に傾いたことで起こった事件だった。でも、その素直な性格のおかげで事件が解決に至ったわけで、大いに反省してもらい、大いに成長したと見える。

メタバースといえど不可能なことは不可能なわけで、諦めて先に進むという選択を迫られたのは、ヒーロー物とは思えないような渋い選択だった。
スーパーマンは過去作で自分が都合の良いように過去を変えていたけど、今回はそんなお手軽な終わらせ方はなされなかった。
今回の結末は悲しい。どうしても母を救うことは出来なかったし、それに選択を間違えると自らがヴィランになってしまうという恐ろしい現実を突き付けられたわけだ。
なんというかその辺はビターだなと思う反面、結局は全部一人相撲じゃんという意地悪な感想もあるわけで、なんともこの作品は評価しづらい。
コメディなしで、完全にシリアスにふりきってしまった方が、私は好みだったのだろうが、フラッシュというヒーローにはコメディ要素が必要なのだろう。それがあったからこそ、140分という長尺の作品でも観やすくなっていたのは確かだ。

それにしても、俳優が豪華だよね。エズラ・ミラーってこんなにイケメンなのに、三枚目の役もこなすのね。一人で二役とはなんとも忙しかったことだろう。上手かったかどうかはわからないが、とりあえずお疲れ様と言いたい。
あと、評価すべきは歴代バットマンが出てきたことだろう。というか、今回の目玉はここにあったんだね。やっぱりマイケル・キートンはカッコいいね。しみじみそう思った。渋かったです。

でもさ、マーベルが先にやってしまっているわけで、二番煎じ感はあるよね。なんだか、そういう狙いが見え隠れしてるのが、あざとくてあんまり好きになれない。

面白いんだけどなぁ。なんだか、手離しに面白いと言い切れない作品であった。
てる

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